先週末のF1バーレーンGP(第4戦)でフェラーリのセバスチャン・ベッテルに起こったことは、F1の世界では物事の様相がいかに速く転ずるかということを示すものだろう。
バーレーンGPを迎える前には、イタリアのメディアは、ベッテルはまさにフェラーリにとっての救世主だと言わんばかりに祭り上げていた。一方で、なかなか目立つ結果を残すことができていなかったチームメートのキミ・ライコネンに関しては、それほど大きな期待がかけられていない状態だった。
だが、19日に行われたバーレーンGP決勝では、ベッテルが自らのミスで表彰台に上るチャンスをふいにする一方、メルセデスAMGを激しく追い上げ、2位表彰台を手にしたのはライコネンのほうだった。
そのとたんにイタリアのメディアは、ベッテルに対して厳しいコメントを送り始めた。
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、「完ぺきな3レースの後、ベッテルは多くのミスを犯し、その高い代償を払わされた」と書き、『La Stampa(ラ・スタンパ)』も「今回、ベッテルはフェラーリのナンバー2ドライバーだった。正確さに欠け、神経質で、追い詰められていた」と報じている。
フェラーリのチーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネは、こうした報道を受け、次のように語った。
「セバスチャンはいくつかのミスを犯した。それさえなければ、我々のドライバーたちは2人とも表彰台に上っていただろう」
「だが、ありがたいことに、彼も我々と同じ人間だということなんだ」
アリバベーネはベッテルを擁護し、次のように付け加えた。
「我々は非常にうつろいやすい世界に住んでいる。彼(ベッテル)はここまでに1勝し、それ以外にも2度表彰台に上っている。そして、チームの一員として冬の間にも素晴らしい仕事を成し遂げてきていたんだ」