もしフェラーリが2015年F1世界タイトルを取ったら、その時はマクラーレン・ホンダ移籍を後悔するだろう。9日(木)、フェルナンド・アロンソは以上のように認めた。
だが、フェラーリで5年間がまんした末、ついに「堪忍袋の緒」が切れたのだ。
そして今、彼は競争力のないマクラーレンに乗って最下位を争っている。アロンソの代わりにフェラーリ入りしたセバスチャン・ベッテルがマレーシアGPで勝ったというのにだ。
今のところアロンソは、マクラーレンの制服を着たらそれが習わしであるかのように、きわめて明るい表情を保っている。
「あれほど後方を走っていたら、普通は方向性を失ってしまうものだ」と上海で話すアロンソ。「ところが僕らは違うんだな!」
開幕戦オーストラリアGPを終え、ぶっちぎりのメルセデスAMGの速さを目にした彼は、フェラーリ脱退に悔いはないと語った。だが彼らは2015年シーズン、かなりの競争力をつけている。
アロンソは、ベッテルによる会心のセパン優勝をどう思っているのか?
「フェラーリは優勝したというのに、僕はQ3にも進めなかった。これ以上ないタイミングで質問してくれたね!」といって笑うアロンソ。
「もし彼ら(フェラーリ)が選手権を取ったら、そうだね、おそらく僕の見方は変わるだろう。だがもし彼らが選手権2位や3位に終わったなら、僕は自分の決定に満足だ」
「過去にも(フェラーリは)上々の開幕ダッシュを見せた。例えば、僕が優勝した2013年の中国GPだ。同じように11月のレースでも勝ちたかったが、そんなことは一度もなかった」
アロンソは今、33歳。すでに2度F1を制していて、自他ともに認めるF1最高のドライバーだ。そんな彼は、15年以上のF1キャリアで優先事項に変化が訪れたという。
「勝ちたいのはもちろんさ。僕らはスポーツマンだからね」「だが同時に、この年齢とドライバーとしての現段階で、ものの見方が変わってくるんだ」
「今はときどき、より幸せを感じる。それに、自分としても、チームも、優勝トロフィーをもらう以上の仕事をしているんじゃないかと思って、そのことが誇りなんだ」
「去年のフェラーリでもそうだった」とアロンソ。「勝ちはしなかったが、僕はかつてないほどいい運転をした。キミ(ライコネン)と比べれば、それがよく分かる」
スペイン『Mundo Deportivo(ムンド・デポルティーボ)』紙によると、アロンソはマクラーレンに骨を埋める覚悟だ。マクラーレンでの「時間に終止符を打ったら」、それはF1に別れを告げるときだ。
「15年、16年、17年とF1経験を重ねると、僕はきっと、もういいやって思う。フェラーリを辞めたときのようにね。僕の人生でひとつの章が終わるのさ」
「子どもの頃、父にマクラーレン・ホンダのレプリカを買ってもらった。それが今では本物のマクラーレン・ホンダに乗っている。今まで描いてきた円が一周した感じだよ。それが閉じたとき、僕のキャリアは終わりを迎える」