ウィリアムズでは21日(水)に、モータースポーツ専門誌である『F1 Racing(F1レーシング)』の表紙で2015年型車外観を公開したが、そのFW37に関して同チームのチーフテクニカルオフィサーであるパット・シモンズが解説を行った。
「FW37の概念をまとめるに当たっては、(昨年の)FW36とそのパフォーマンスをじっくりと検討した。そして、どこがうまく機能していたのかということと、もっと改善する必要があると感じられた部分を特定し、それの解決に向けた取り組みが行われた」
「クルマの空力は非常によいものだったが、常に改善の余地はあるものだし、とりわけ2015年の新たなノーズレギュレーションへの対応に注力した」
■FW37の基本概念は2014年型車で検証した
FW37の設計は、高いパフォーマンスを発揮したFW36を踏襲するものではあるが、その概念は2014年に成功を迎えるずっと以前から温められていたものだという。
「FW37の最初の概念は、FW36が走り始める前から持っていたものだ」とシモンズ。
「主要な要素は、ルール変更と、それがクルマの設計にどういう影響を及ぼすかということを理解することだった。それにより、我々のアイデアがルールにうまく適合するかどうかを確認し始めることができるんだ」
2013年シーズンにはチーム別ランキングで9位に沈んでいた名門ウィリアムズだが、ルノーエンジンからメルセデスエンジンへと移行した2014年には、FW36がランキングを3位に押し上げるまでのパフォーマンスを発揮。合計9度表彰台に上るとともに、F1オーストリアGPではフェリペ・マッサが2014年シーズンにメルセデスAMG勢以外として唯一のポールポジションも獲得していた。
シモンズは続けた。
「フェラーリを上回って2014年のコンストラクターランキングで3位となることを目指したことで、秋が終わるころまで(FW36の)開発を続けていた。だが、現在のチームの規模は、FW37に取り組みながらもその開発を継続できるようになっていた」
■FW37ではかなりの改善が可能だったがノーズ変更には苦労
2015年は、前年と比べてレギュレーションの変更も比較的少ないため、FW37の開発はFW36をベースとして、それを2015年のルールに適合するように変更を加えることに集中できたのは間違いない。
「FW36については、設計面で壁に当たっていたと感じていた。そこで、その壁を取り除き、パフォーマンスをさらに改善できるように努めてきた。FW36ではかなりの量のバラストを積んでいたんだ。だから、我々はさらに重量が増えるということをあまり気にすることなく設計に変更を加えることができたよ」とシモンズは付け加えた。
FW37の基本レイアウトについては8月の夏休みころにはすでに決定されていたが、レギュレーションの変更に伴って、新しいフロントバルクヘッドをどう処理するかといことが設計担当者や空力担当者の主要な課題となっていたという。
「レギュレーションが変わったことは、我々にとってちょっとした頭痛の種になっていたよ。新しいフロントバルクヘッドとノーズ配置は、当初我々が想定していたよりもさらに大きな影響を及ぼしていたし、空力面への影響が大きかったんだ。チームはこうしたレギュレーションによって我々が抱えた不利益を取り除くために懸命に頑張ったよ」
■2015年にはメルセデスAMGに迫りたい
2014年には目覚ましい活躍を見せたウィリアムズだが、2015年の戦いはさらに厳しいものになるだろうとシモンズは考えている。だが、それでもウィリアムズがさらにパフォーマンスを高めることができるという自信も見せている。
「ルールがそれほど変わらないと、チームの力も接近してくるものだ。我々としては、後ろのチームに追い上げを許すことなく、メルセデスAMGをとらえるための勢いを維持していけるんじゃないかと期待している。それは単にレギュレーションがあまり変わらなかったためというだけではなく、チームやここで働くスタッフの一人ひとりが前進を続けて改善しているからだよ」とシモンズは結んだ。
さらに、チーム代表のフランク・ウィリアムズも次のように語った。
「昨年は素晴らしいシーズンにできた。2015年シーズンにも強さを発揮し、それを繰り返すことができるよう冬を通じて開発に取り組んできた。ウィリアムズは素晴らしい才能を持った人材によって構成されているし、みんなもチームがいい成績を収めることだけを望んでいる」
「こうした情熱が2014年にチームに素晴らしい結果をもたらしたし、全員が休むことなく順位を上げるために頑張りつづけていたよ」
ウィリアムズは、2015年に関しても次のように続けた。
「(エンジンサプライヤーの)メルセデスと組んだ最初の年は非常にうまくいったし、この関係をさらに強め、2015年にはさらに多くの表彰台が獲得できることを期待している」
「今年は昨年同様にワクワクしたシーズンになると思っているし、開幕戦のグリッドにこのクルマが並ぶところを見るのを楽しみにしている」とウィリアムズは締めくくっている。