F1最高責任者であるバーニー・エクレストンから賄賂(わいろ)を受け取ったとしてすでに有罪判決が下され、現在服役中の元銀行家ゲルハルト・グリブコウスキーが、エクレストンについて「権力に必死にしがみつこうとしていた」と証言した。
現在ミュンヘンで行われているエクレストンに対する汚職容疑裁判の結果次第では、83歳のエクレストンはこれまで長期にわたって君臨しつづけてきたF1最高責任者としての地位を失い、刑務所で余生を過ごすことになる可能性もある。
かつてミュンヘンのバイエルン銀行の責任者であったグリブコウスキーは、今回の裁判における重要な証人として13日(火)の法廷に立ち、検察側が主張しているエクレストンがF1の商業権売買に影響を及ぼすことを目的として賄賂を払ったのだということを裏付けるような証言を行った。
ドイツのメディアは、すでに4400万ドル(約45億円)の賄賂を受け取った罪により8年6か月の有罪判決を受けているグリブコウスキーが、法廷で次のように語ったと報じている。
「この職務(F1最高責任者)は彼(エクレストン)の人生そのものだ。もちろん、彼はその職にとどまることを望んでいた」
グリブコウスキーは、エクレストンは、F1をがむしゃらに運営し続けようとし、F1においては他者に「自分を神だとみなすよう」求めるような人物だったと表現したという。
だが、興味深いことに、グリブコウスキーは、イギリスにおける個人的な税務問題に関して脅迫を受けていたとするエクレストンの主張を否定はしなかった。
エクレストンは、自分がグリブコウスキーに大金を支払ったのは、唯一その理由のためだったと主張している。
グリブコウスキーは法廷で次のように証言した。
「我々は(税金問題に関して)具体的なことは何も話さなかった。それは抑制を目的とするものだった」
グリブコウスキーは、ほんの数週間前にイギリスの税務当局からもエクレストンの税務問題についての質問を受けていたことも明かしている。
「彼らにもこの法廷で語ったのと同じことを話した」
そう証言したグリブコウスキーは次のように付け加えたとされている。
「私は内部情報については何も知らなかった。だが、あの時点で、私はそれを利用してエクレストンにF1に関する問題で和解させようと圧力をかけていた」