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F1爆音化ならホンダが復帰見送りも?

2014年03月30日(日)17:05 pm

ある質問にクールな答えがほしかったら、リポーターは「アイスマン」の異名をとるキミ・ライコネン(フェラーリ)に聞けばいい。

2014年シーズンから採用されたV6ターボエンジンの静か過ぎるエンジン音は第2戦マレーシアGPの舞台セパンでも話題となっているが、スペインの『AS』にこの話題を振られたライコネンは肩をすくめてこう答えた。

「(エンジン音は)ちょっと変わったけど、それほど大きく変わっていない。音量はちょっと小さくなった」

確かに、多くのファンや関係者が懐かしがるV8エンジンやV10エンジン以上にF1のパドックでかまびすしい耳障りなのは、不平不満を言う声だ。

例を挙げれば、レッドブル総帥のディートリッヒ・マテシッツがこの「新しい」F1に不満を述べたとき、陰謀説論者たちは、F1買収をたくらむマテシッツが市場価値の低下を狙って発言したのだろうと邪推していた。

また、マテシッツのチーム、つまりF1を4連覇中のレッドブルが苦境に立たされているためにそのような発言をしたのだろうという見方もあった。

V6エンジンの静音性に異論をとなえているF1ボスのバーニー・エクレストンは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に「(マテシッツの発言は)何の関係もない」と話し、こう続けた。

「マテシッツはレーサーなんだ。そして、彼はオーストリアGPのプロモーターでもある。彼の心配は正当なものだ」

裏に隠れた事実はどうあれ、エクレストンは大音量のF1エンジンを取り戻すべく精力的に働きかけているようで、『Times(タイムズ)』はマレーシアでのエクレストンの次のような発言を伝えている。

エクレストンは、V6エンジンの音を初めて聞いたとき「ドメニカリ(フェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリ)に、かつてのようなエンジン音に戻せるか聞いてみた」と言う。

「ドメニカリはわからないと答えた」

「エンジニアに確認するよう、彼に頼んだ」

83歳のエクレストンは、レースのプロモーターやスポンサー、ファンがF1を見限ることを心配している。

しかし、ロータスのロマン・グロージャンは、多くのことが変わったこの新しいF1をもう少し長い目で見るべきだと母国フランスの『RMC』に話した。

「今のところ、僕たちは12,000~13,000回転くらいでエンジンを回している。14,000回転くらいまで回せるようになれば、エンジン音ももう少し大きくなるだろう」

進化を見守る姿勢のグロージャン以上に2014年のエンジン音に好意的なのはエイドリアン・スーティル(ザウバー)だ。

「ほかの(V8)エンジンよりもこの音の方がずっといいよ」とエイドリアン・スーティルはドイツ紙『Suddeutsche Zeitung(ズートドイチュ・ツァイトゥング)』に話している。

「フェラーリ、メルセデス、ルノーのそれぞれの音を聞き分けられるようになったから、前よりもおもしろくなった面もあると思う」

グロージャンやスーティルが前向きな発言をする一方で、現チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)はV6ターボエンジンの音は「クソ」だと容赦なく切り捨てており、レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコもこれに同意している。

「多くの人にとって、管理社会に残された最後の自由がモータースポーツなんだ」

そう話すのはF1ボスのバーニー・エクレストンだ。エクレストンはドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に、もし自分のその権限があれば、できる限り早くV8エンジンの改良版に変更したいと話した。

「技術的には何の問題もないだろう」

「しかしそれには、(V6ターボエンジンの開発に)多額の資金をつぎ込んだメーカーが誤りを認める必要がある」

「そして、(2015年シーズンからのエンジン供給を予定している)ホンダはV8エンジンを持っていないために復帰を見送ることになるだろう」

V8エンジンが復活し、V6ターボエンジンの使用期間が短くなるとすればホンダの復帰が流れるだけではなく、既存のエンジンメーカーもF1を離れるだろう、とメルセデスの会長であるニキ・ラウダは話している。

「今もまだV8エンジン時代だったなら、フェラーリも、ルノーも、われわれメルセデスもすでにF1を離れているだろう」

「FIA(国際自動車連盟)は(V6エンジンへの移行を)5年前に決めたが、それは新しい技術の実用化に必要な時間だった」

「いまさら文句を言っているプロモーターは、(レース開催の)費用を引き下げるためにバーニーにプレッシャーをかけているんだろう。けれど、レースがおもしろくなれば、エンジン音の話など3戦で吹っ飛ぶよ」

しかし、レッドブルのマルコ博士はラウダの発言に政治的なにおいをかぎ取っているようだ。

「ニキは自分のところのエンジンが勝っているから今のエンジン音が気に入っているだけさ」

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