2014年からF1に導入されたV6ターボエンジンエンジンの音が小さいことに、開幕戦オーストラリアGP主催者から怒りの声が上がっている。
決勝のスタート時に、22台のF1マシンが静かに1コーナーへ向かう姿は、F1関係者も危機感を抱かせた。
3度のF1チャンピオンで、メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは次のように話した。「最初は、"耳栓を取ればいいだけのことだ、そうすれば以前と変わらない"と言っていた」
「だが、正直に言おう。今日はテレビを見ていて少しがっかりしたよ。特にスタートでね。とにかく何かが足りなかった」
「以前は(音が)骨の髄まで響いたものだ。これに慣れる必要があるが、魅力の一部を失ってしまった」
現チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)は、今のF1マシンが「レーシングカーというより掃除機のようだ」と言っている。
現役の中で最も経験の長いジェンソン・バトン(マクラーレン)も懸念する。レースウィーク中は、V10エンジンを積んだ車両のデモンストレーションもあった。
「(V10サウンドが)本当に恋しいよ」とバトンは話した。「素晴らしい音だった。エンジンサウンドにとって最高の時代だ。でも、もう違う」
F1パドック関係者は大半が落胆しているが、オーストラリアGP主催会社の会長アンドリュー・ウェスタコットは、それどころか怒りを感じている。
「代金を支払っているんだ。契約を交わした。それを今、非常に真剣に見直している。契約不履行に当たるのではないかと考えているからだ」とウェスタコットは17日(月)に『Fairfax Radio(フェアファックス・ラジオ)』に話している。
こうした声がある中、ラウダは、F1の音が小さくなったからといってエンジンルールを修正することは間違いだと次のように語った。
「誰もがこのことについてどうにかしたいと思っている。だが単純にエキゾーストパイプを変えるというようなことは不可能だ。エンジン全体やエンジンマップの開発をやり直さなければならない」
「それでは、あまりに高くつく」
「もう少し音量を上げるためだけにエンジンを変更するようなことは、頼むからやめてくれ」