昨年までセバスチャン・ベッテル(レッドブル)のチームメートであったマーク・ウェバーが、ベッテルは早めに引退することになるだろうと予測した。
昨年、最年少で4年連続F1タイトル獲得という偉業を成し遂げたベッテルだが、レッドブルにとって最初のタイトル獲得を果たした2010年から昨年まで、ずっとウェバーがチームメートだった。
昨年限りでF1を引退し、今年からポルシェのプロトタイプでWEC(世界耐久選手権)に挑戦することになったウェバーは、『Motor Sport(モーター・スポーツ)』誌の3月号で次のように語っている。
「明らかに、スコアカードでは僕のほうが不利だね」
「特に、ピレリ(タイヤ)に変わってからはそうだったよ」
「彼はピレリを履いて僕を打ち負かした。でも、僕はそれを受け入れるよ」
ウェバーと仲のよい友人としても知られるフェラーリのフェルナンド・アロンソでさえ、1周のスピードではベッテルと対等に争うことはできないとウェバーは考えている。
「僕は常に、フェルナンドが最高だと思っていた。今でもそうさ。日曜日に関してはね」
「でも、1周の速さでは、セブ(ベッテルの愛称)にかなうものはいないと思っている。それは単に速さではなく、準備によるものだと理解しているんだ」
「みんなも知っているように、セブの強さは、スタートから逃げをうち、先頭を走ることで発揮される。そのときの彼はまるでコンピューターみたいじゃないかい? 彼の弱点は高速コーナーだけだった」
だが、そのウェバーも、低速コーナーでのベッテルは手がつけられないほど速かったと認め、次のように続けた。
「2週間ほど前、初めてテレビでシンガポールでのレースを見たんだけど、彼はほかの誰よりも2秒半ほど速かった。そして、ニコ(ロズベルグ/メルセデスAMG)、フェルナンド、ルイス(ハミルトン/メルセデスAMG)、僕を後ろに従えていた」
「彼はたくさんの操り人形たちとレースをしていたわけじゃないんだけどね! まあ、いつもそんな感じだったわけじゃないけれど、いくつかのレースで彼はずばぬけていたよ」
さらにウェバーは、ベッテルのこれまでの人生に対する取り組みかたも独特だと語っている。
あまりにもプライバシーを大事にし過ぎることで評判がよくないベッテルだが、かつてのライバルがここまでの26年の人生を急いで駆け抜けてきたのだとウェバーは考えている。
「どういうことだか分かる?」
「僕は、セブが若いうちにすべてをやろうとしているように思えるんだ」
「彼は何度もタイトルを取り、若くして結果を残した。そして、若くして子供も生まれる。だから、僕は彼が引退するのも早いと思うよ。彼は多分赤いクルマを楽しんで、それでサヨナラだろうね」