2013年F1シーズンも残り2戦、レッドブル加入が決まっているダニエル・リカルド(トロロッソ)は、その興奮からさめ、不安が頭をよぎっても不思議ではない。
何といってもリカルドは4年連続F1コンストラクターズ選手権を制覇したチャンピオンチームに加入するのだ。
そのうえ、チームメートはあのセバスチャン・ベッテル。泣く子も黙る4年連続F1王者で、今は多くの関係者がアイルトン・セナやミハエル・シューマッハといった伝説の存在と比べるほどのドライバーだ。
2014年、リカルドはいよいよ、母国オーストラリアの先輩が暖めてきたレッドブルのシートに収まる。
ベッテルが先週末のアブダビGP予選でチームメートのマーク・ウェバーに負けたことについて、リカルドは『Totalrace(トータルレース)』へ、次のように語った。「みて分かる通り、彼(ベッテル)も人間だ」
「セバスチャンはここアブダビを得意としている。きっとマークは満足に違いないよ。来る年に向けて、僕にも希望がわいてきた」
しかし、ベッテルを相手に戦う来年について恐れは感じないという。
「彼は4度の世界チャンピオンなんだ。プレッシャーを感じるのは、僕よりむしろ彼の方だろう」
「若手の僕が彼に勝つとは誰も思っていないはずだ」
それでも、リカルドがウェバーの二の舞いになることに恐れを抱かないとも限らない。2010年にベッテルを仕留め損ねて以来、ウェバーは負けの連続なのだ。
ベッテルはマシンを含めチーム内で優遇されているといった陰謀説を信じる者もいるぐらいだ。誰の目にも、ベッテルとウェバーの関係は、お世辞にもいいとはいえない。
「マークとセバスチャンの間で起こったすべての出来ごとは、僕や来年といっさい関係ない」というリカルド。
契約書にしても自分が「ナンバー2」ドライバーだとはどこにも書いていないと、リカルドは『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』紙に話す。
それどころか、リカルドにしろベッテルにしろ、どちらかが選手権争いから脱落したら一方をサポートしなければならないとする条項が契約書に存在するという。
すなわち、ベッテルがリカルドの援護射撃にまわることもあり得るのだ。
リカルドは笑いながら次のようにコメントする。「そうだな。もしそうなったら、僕にとっては素晴らしいシーズンだろうね!」
「もちろん、それが夢のようなことなのは承知しているよ」