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転換期を迎えたピレリタイヤ

2013年05月14日(火)10:41 am

不可解で、苦痛にみちたF1スペインGP(5月12日決勝)後に、誰もが怒りをこめた口調で「Tで始まる言葉」(タイヤ)を口にしていた。

タイヤの状況にイライラが募ったフォース・インディアのポール・ディ・レスタは、バルセロナでのレース中に、チームに対して無線で「誰か、一体何が起こっているのか教えてくれないか?」と問いかけていた。

ディ・レスタのこの言葉は、現在F1が置かれている状況を要約している。すなわち、ピレリの前代未聞とも言えるほど性能低下の激しいタイヤは、F1ドライバーたちさえも混乱に陥れているということだ。

予選では圧倒的な速さを示し、ポールシッターのニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)とともに最前列からレースをスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、やはりレース中に、チームの首脳陣に対して、驚きと怒り、そして嫌味のこもった言い方で、次のように伝えていた。

「今、ウィリアムズにまで抜かれてしまったよ」

そのわずか24時間前には、ウィリアムズは2台とも予選Q1突破さえ果たせていなかった。多くの人がメルセデスAMGを優勝候補と考えていたにもかかわらず、競争力に欠けるウィリアムズに抜かれることとなったのだ。

また、マクラーレンのジェンソン・バトンも次のように語っている。

「僕たちのレースでのラップタイムは、GP2(F1の下位カテゴリー)の予選タイムより3秒も遅かったし、GP3(GP2の下位カテゴリー)のレースでのラップタイムよりたった6秒速かっただけなんだ。何か間違っているよ」

スペインGP決勝において、タイヤを守るためにスピードを落とすようチームに求められたハミルトンは、これ以上スピードは落とせないとし、「そんなことしたら歩くスピードと変わらなくなる」と答えていた。

ハミルトンはレース後、記者たちに対して、「あれが、F1が追い抜きを増やすために行ったことだ」と語り、「観ている人たちに判断してもらうしかないね」と付け加えた。

これまでピレリは、自分たちはドライバーに対して複数回のピットストップを強要するタイヤを供給することでレースでの動きを活発化するという役目を負うためにF1に参入してきたものであり、その要求には応えている、と自分たちの方針を強く擁護していた。

だが、スペインGP後に、F1関係者だけでなく外部からも辛らつな意見が噴出する中、ピレリのモータースポーツ責任者であるポール・ヘンベリーは、ピレリがタイヤに変更を加えることを発表した。

ヘンベリーは、その変更の時期について、「モナコGP(5月26日決勝)にはもう遅すぎるが、シルバーストン(イギリスGP/6月30日決勝)に向けて変更することを目指したい」と語っている。

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