今週末のF1開幕戦オーストラリアGPでは、ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)が優勝かという予想まで出ているが、ザウバーチームの創設者ペーター・ザウバーは冷静さを忘れず、『Sonntagsblick(ゾンタークスブリック)』へ寄せたコラムに、チームは2013年シーズンを「中団グループで」戦うだろうとつづっている。
「2012年シーズンと同様に(今年も)かなり接戦になるだろう」
ザウバーのこの意見に、ウィリアムズの共同創始者で、ヒュルケンベルグがデビュー時に在籍していたウィリアムズの元テクニカル・ディレクターのパトリック・ヘッドも同意している。ヘッドはイギリスの『Guardian(ガーディアン)』紙のコラムにこうつづった。
「ひとつ言えるのは、フォース・インディア、トロ・ロッソ、ウィリアムズ、そしてザウバーの全チームが進歩したということだ」
「この4チームは、どこも素晴らしいクルマを仕上げてきたと私には思える」
昨シーズンに直接のライバル同士だった中団グループが互いに同程度の進化を遂げたとして、彼らが目指す先にいるのはいわゆるトップチームだろう。元ルノー(現ロータス)のチーム責任者フラビオ・ブリアトーレは、トップグループが中団グループの視野に入った背景にはF1全体の大幅な予算削減があると指摘する。
「年間予算が9,000万から1万ユーロ(約112億円から124億6,000万円)前後のロータスやザウバーが非常に速い。彼らの3倍の予算を投じているマクラーレンやフェラーリ、レッドブル、メルセデスAMGを打ち負かす日が来るのではないかと思うほどだ」
「F1レースに出るクルマの台数を大きく変えて、クルマ同士が接近戦を演じるような展開にすることもできるだろうし、その方がおもしろいショーになる」
ブリアトーレがそう話す一方で、下位チームのマルシャやケーターハムが中団グループに近づくのは、非常に難しいことだ、とヘッドは語っている。
「簡単なことではない。ウィリアムズのファクトリーでクルマ作りに携わっているスタッフは480人ほどいる。ケーターハムやマルシャがその規模のチームになるのは容易ではないだろう」