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フォース・インディア「2013年型車は目に見えない部分が大きく変化」

2013年02月03日(日)18:59 pm

2013年型車VJM06を発表したばかりのフォース・インディアでテクニカルディレクターを務めるアンドリュー・グリーンが、質問に答えた。

Q:VJM06を開発するにあたって鍵となった要素について説明してもらえますか?

グリーン:ルールは今年も昨年とほぼ同じだし、ダブルDRS(※)の禁止もわれわれには関係ない。だから、新車への移行はこれまでのシーズンよりもかなり簡単だった。昨年、われわれはシーズン中盤戦が終わった時点で、開発パーツをサーキットに持ち込むことをやめたんだ。現場にいるスタッフたちにそのクルマに対する理解を深める機会を持たせるためにね。それまではレースごとに変更が加えられていた。

グリーン:安定的な基盤があれば、それに磨きをかけ、うまく調整できるものだ。われわれはクルマの挙動に関する理解を深めることに集中した。どこが想定していたものと違うのか、そして重要だったのが、どうタイヤを機能させていたのかということだった。われわれは今年のクルマを造る上でそこで得られた知識を用いたし、それが大いに役立ったよ。

(※)ダブルDRS:2011年から導入されたDRSは、空気抵抗低減システムである可変リアウイングを作動させ、一時的に最高速を高めることができるようにしたもので、決勝レースでの追い抜きを増やすために導入された。このDRSを作動させたときに、それに連動して別のウイングに空気を導くなどして空力特性を変化させるシステムのことをダブルDRSと呼ぶが、2013年から禁止となった。

Q:(昨年の)最後の数レースで非常によいパフォーマンスが発揮できていたのは、そうした姿勢がうまく作用したのでしょうか?

グリーン:そうだと思っている。われわれは昨シーズンの最後の3レースでは本当にクルマをいじらなかったが、新しい空力パーツによってもたらされると思っていたものより、さらにいいパフォーマンスが発揮できたんだ。

Q:VJM06は昨年型と比べてどのように違いますか?

グリーン:ゼロから造られたまったく新しいクルマで、すべてが新しくなっている。昨年のクルマからシャシーなども含む大部分を流用しようかという議論も行ったが、そうはしないことにした。シャシーによってさらに性能向上が図れたため、パフォーマンスが向上することを選択したんだ。だが、新車は昨年のものと比べて革命的というよりは進歩型だが、それは単にレギュレーションがあまり変わらなかったということによるものだ。

Q:外観でもっとも変化したのはどこですか?

グリーン:誰もが今年のクルマを見て気付くであろうもっとも大きな変化は、ノーズの段差が隠されてまっすぐになったことだろう。クルマのパフォーマンスに関しては、シャシー上部の空気の流れを整えれば大した差はないから、本当に小さなことだがね。

Q:目に見えない部分はどうですか?

グリーン:目に見えない部分ではかなり大きく変化しているよ。なぜなら、昨年われわれはタイヤにかなり集中していたので、予選から決勝にかけてのセットアップについていくつか選択の幅を広げることができるとわかった。これからシーズン前テストを始めるにあたっては、そこに集中することになる。それらの選択肢を精査し、理解を深めていく。寒い冬のテストでこうしたことを評価するのは難しくなるだろうが、それらの選択肢は、エンジニアたちにもっと多くの武器を与えることになるだろう。

グリーン:サスペンションは、タイヤに関して学んだことをベースに調整された。だから、タイヤの性能をよりよく補完するために、形状的には昨年とは違うものになっている。リアサスペンションはかなり違うよ。空力向上のためにすべてが高い位置に設置され、リアでは下側のウィッシュボーン(鳥の鎖骨のような形状をしたサスペンションアーム)の下に空気が流れるようになっている。

Q:ピレリは2013年のタイヤに変更を加えています。それによる影響はどうですか?

グリーン:(昨年の最終戦が行われた)ブラジルで少しだけそのタイヤを使ってみた。そのときは新たに造られたばかりのものだったがね。これからシーズン前テストですべての新しいコンパウンドで走ってみることができる。すでにいくつかのデータを集めて、クルマにも多少の変更を加えた。新しいタイヤはもっと軟らかくなる。だから、ストレートエンドで同じ車高を維持するためには、車高を高めにしなくてはならない。

グリーン:コンパウンドの温度域も変化しているから、テストではそれを学ぶことが重要な部分になる。それぞれのコンパウンドについて、どの範囲がもっとも性能発揮できるかということをきちんと理解することがね。そして、どのサーキットにおいても、その範囲の中にタイヤをとどめておくようにしなくてはならない。それが、昨年の終盤にわれわれが理解しようと努めた基本部分のひとつだ。

Q:予選でもDRSが使えるのは特定のエリアだけになります。このことは影響がありますか?

グリーン: FIA(F1を統括する国際自動車連盟)がそのルール変更を決めたのは遅かったが、われわれはそれに対応した。それによってクルマのセッティング思想や、究極的には空力哲学をも若干変化させられるものだ。空気抵抗のレベルや、ウイングの変化のレベルといったものが、それによって少しばかり変わってくる。

グリーン:みんなが考えているように、予選と決勝のセットアップは似たようなものになってゆくだろう。だが、セットアップにおいて妥協せざるを得ないところも残る。恐らくはその直接的な結果として、予選でのタイムは平均でコンマ4秒か5秒落ちてくるだろうね。

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