レッドブルは、次に迫ったシンガポールGP(9月23日決勝)でオルタネーター(エンジン内の発電・整流部品)の不具合が再発しないことを願っている。
6月にバレンシアで行われたヨーロッパGPでは、オルタネーターが原因で、ルノーエンジンを使う2チーム、レッドブルのセバスチャン・ベッテルとロータスのロメ・グロジャンの2人がリタイアした。前戦のイタリアGPでも、ベッテルが同じ問題でリタイアしている。
イタリアGPでは、土曜午前のフリー走行でも、ベッテルが同じトラブルでストップしており、出場停止だったグロジャンに代わって出走したジェローム・ダンブロシオのオルタネーターも、不具合を起こす一歩手前の状態だった。さらに、その後行われたピレリタイヤのテストでも、2010年型のルノーエンジンとオルタネーターを装着したマシンが同様の不具合を起こしている。
「われわれがルノー・スポールにやるべきことを言う必要はない。最も緊急の課題であることは彼らも分かっているからだ」とロータスのテクニカルディレクターであるジェームス・アリソンが語ったことをフィンランドのテレビ局『MTV3』が伝えている。
現チャンピオンチームのレッドブルは、今年もチームのタイトルを争うコンストラクターでは首位に立っているが、イタリアGPでリタイアしたことで、ベッテルのランキングは下がってしまった。現在ベッテルは、首位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)と39ポイント差で、ルイス・ハミルトン(マクラーレン)とキミ・ライコネン(ロータス)に次ぐ4位であり、これ以上マシントラブルでリタイアするわけにはいかない。
「要するに、選手権で今つけている位置が僕たちの位置なんだよ」と率直なもの言いをするベッテルはドイツのテレビ局『Sport1』に語っている。
F1で空力の天才と称されているエイドリアン・ニューイ(レッドブル最高技術責任者)がデザインしたレッドブルの2012年型車RB8は、超高速サーキットであるスパ・フランコルシャン(ベルギーGP)やモンツァ(イタリアGP)では、直線スピードの不足に苦しんだ。しかし、レッドブルにとってより大きな疑問は別にある。フリー走行では速さを見せながら、重要な予選でその速さを発揮できないことがたびたび起きている理由が分からないことだ。
「答えは見つかっていない」とレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーも認めている。
レッドブルは、シンガポールGPで良い結果が出ることを願っている。昨年はベッテルが優勝しており、希望もある。
「今年の僕たちは公道サーキットで力を発揮している。だから、再び競争力を発揮できるだろうし、それが自信につながっているよ」とチームメートでモナコで優勝したマーク・ウェバーはシンガポールGPに向けて意気込みを述べている。