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F1イタリアGPのみどころ

2012年09月06日(木)6:01 am

先週末に夏休みが明け、戦いを再開したばかりのF1だが、早くも次の戦いの舞台イタリアへ。伝統のモンツァ・サーキットで行われるイタリアGPで、今季F1もヨーロッパでの戦いを終え、チャンピオンを決めるべく、アジア、アメリカ、中東へと戦いの場を移す。

・開催サーキット
イタリアGPの舞台となるのは、ミラノ近郊モンツァの国立公園内にあるモンツァ・サーキット。F1が世界選手権となった1950年から、1年を除いて毎年イタリアGPを開催してきたサーキットであり、フェラーリの聖地、おひざ元と言われることも多い。

フェラーリの地元ということもあり、赤いキャップや服に身を包んだティフォシ(熱狂的フェラーリファン)が毎年モンツァを赤く染め、独特な雰囲気を作り出している。また、レース後にはホームストレート上にティフォシがなだれ込み、表彰台に登ったドライバーを祝福する光景が恒例だ。これもあり、モンツァの表彰台はホームストレートにせり出すような形状になっており、ティフォシがより近い位置からドライバーを祝福できる。

そんなモンツァの特徴はストレート。長いストレートをシケインや低速コーナーでつないだ形状になっており、ストレートでの最高速が重要になる。そのため、モンツァではほかのサーキットとは大幅に異なるウイングを使用し、極限まで空気抵抗を減らしたセッティングが採用される。

また、非常に高速な状態からシケインや低速コーナーのため急激に減速することから、ブレーキング時の安定性も重要な要素となる。しかし、最高速を伸ばすため空気抵抗を極限まで減らすことで、車体を地面へ押し付けるダウンフォースも、ほかのサーキットに比べると大きく減っている。これにより、クルマが不安定になってしまうため、最高速とブレーキング時の安定性の間で、うまい妥協点を探るのがモンツァでの難しさになる。

そして、もう1つモンツァで重要になるのが縁石の使い方。シケインを素早く攻略するには、大胆に縁石を使いながら最短距離で通過する必要がある。しかし、縁石に乗りすぎてしまうとクルマがはね返されてしまう状態になることから、どこまで縁石を使えるのかドライバーは見極めなければならない。さらには、縁石を乗り越えた後、クルマが不安定になった状態から、素早く加速できる状態にできる足回りも欠かせない。

・追い抜きが可能なコース
追い抜きが少なくなっていることが問題視されていた近代F1だが、モンツァは以前から「抜けるサーキット」として知られてきた。最も大きなチャンスになるのは、第1シケイン。このコースで最もスピードの出るメインストレートからシケインに向けて一気に減速する場所だ。

時速350kmに迫るスピードでストレートを駆け抜けるクルマが横並びの状態になり、1コーナーに向けてブレーキング競争をする光景は、見どころの1つになる。また、もう1ヶ所追い抜きのチャンスになるのが、8から10コーナーにかけてのアスカリ・シケイン。右コーナーが2つ続くレズモを抜けた後のストレート区間で前走車の背後につけ、アスカリ・シケインへの飛び込みで抜く形になる。

タイヤサプライヤーのピレリがモンツァへ持ち込むのは、4種類あるタイヤのうち最も硬い組み合わせであるミディアムとハード。ミディアムはタイヤ側面のロゴなどが白、ハードは銀で書かれている。決勝では、雨用のタイヤを使用しない限り、この2種類両方のタイヤを使わなければならない。

・優勝争いは?
今季の前半戦は波乱の戦いが続いたが、前戦ベルギーGPではポールポジションからスタートしたジェンソン・バトン(マクラーレン)がそのまま優勝した。しかし、スタート直後にフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)やルイス・ハミルトン(マクラーレン)といった有力ドライバーが多重クラッシュで姿を消したこともバトンの独走優勝を後押ししていた。

前戦で速さを見せたマクラーレンは今回も有力な優勝候補になるとみられる。しかし、モンツァは前戦ベルギーGPの舞台スパ・フランコルシャンと同じく、現代F1には珍しい超高速コースであるため、通常とは異なる戦力図になることもある。実際、ベルギーGPではウィリアムズやザウバーといったチームが予選でいつもよりも上位に入り、レッドブル勢が低迷していた。コース特性が似ていることを考えれば、モンツァでも予選で波乱が見られる可能性もあるかもしれない。

なお、ベルギーGPのスタート直後に発生したクラッシュの原因を作ったとして、ロメ・グロジャン(ロータス)は1戦の出場停止。代役として、控えドライバーのジェローム・ダンブロシオがロータスからイタリアGPを戦うことになった。

・小林可夢偉、ザウバーの動向は?
前戦ベルギーGPでは、自己最高となる予選2番手に入り、決勝を1列目からスタートした小林可夢偉。しかし、スタートに失敗して出遅れると、1コーナーで発生した多重クラッシュに巻き込まれ、順位を大きく落としてしまった。その後も損傷したマシンでペースを上げられず、入賞できないままレースを終えていた。

可夢偉によると、スタートの失敗はクラッチの設定だったようで、レース後にチーム側へ自分の意見をしっかりと伝えたという。モンツァとコース特性が似ているスパで獲得した予選2番手は、日本人としても過去最高記録に並ぶものだった。今回は、予選でさらに活躍することを願いつつ、その勢いのまま決勝を戦うことも期待したい。

今季F1ヨーロッパ最後の戦いになるイタリアGPは、7日(金)現地時間10時(日本時間17時)に開幕。超高速のバトルが展開される決勝は、9日(日)現地時間14時(日本時間21時)にスタートする。

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