レッドブルは、イエローフラッグが振られている状況下でなぜDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)の使用が認められるのかについて明確化することを要求している。
先週末開催されたヨーロッパGPにおいて、メルセデスAMGのミハエル・シューマッハがイエローフラッグの振られている区間でDRSを作動させていたのをレッドブルのマーク・ウェバーが目撃。レッドブルはすぐに異議を申し立て、競技委員はこれに関して3時間にも及ぶ審議を行った。
レッドブルが抗議を行ったのは、イエローフラッグが出された区間は追い抜き禁止になり、減速する義務があるためだ。しかも、今回問題になった区間は、2本のイエローフラッグが振られており、大幅な減速が義務づけられていた。
最終的に、F1復帰後初となるシューマッハの表彰台は正式に認められることとなったが、F1を統括するFIA(国際自動車連盟)の競技委員長チャーリー・ホワイティングは、DRSが開いていたかどうかが重要なのではなく、「ドライバーが速度を落としていたか否か」が重要であると論じている。
さらに、ホワイティングは現状のルールに、イエローフラッグ中のDRS使用を禁ずる明確な条項はないとも付け加えていた。
しかし、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーはオーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に対し、次のように語った。
「以前、会合でDRSとKERS(運動エネルギー回生システム)はイエローフラッグの際に使ってはならないと言われていたんだ」
「だから、われわれはマークにDRSを使うなと伝えたよ。それなのに、ミハエルが使っていたということに驚いている」
ザウバーのチーム代表であるペーター・ザウバーも、「これまでの経験から、FIAがそのときそのときで異なった基準を適用することはわかっているよ」とFIAの裁定に対して不満を表した。
『Hamburger Morgenpost(ハンブルガー・モルゲンポスト)』紙は、これがシューマッハにとってF1復帰後初めての表彰台獲得であったことや、かつてフェラーリでともに戦った仲間であり、友人でもある現FIA会長のジャン・トッドがその審議に出席していたことが競技委員会の裁定に影響を与えたということはなかったのだろうかとの疑問を投げかけている。
ヨーロッパGPで競技委員の1人であった元F1ドライバーのミカ・サロは「われわれが出した判断について話をすることは許されていない」と語るのみだった。
ホーナーは、「シルバーストン(次戦イギリスGP/7月8日決勝)に向けて、これをはっきりさせておくことがすべてのチームにとって重要なことだと思う」と結んでいる。