ザウバーのペーター・ザウバー代表は、ライバルチームであるメルセデスAMGのミハエル・シューマッハが今季ここまで運に見放されていることについて、理解しがたいことだと述べている。
ペーター・ザウバーは、90年代初頭に、7度のタイトルを獲得することになるシューマッハのF1デビューを手伝った人物でもある。そのザウバーは、スイスの『Blick(ブリック)』紙に対し、メルセデスからF1に復帰後3年目を迎えたシューマッハが、今年ついに力のあるクルマを手に入れることができたと考えていたと語るとともに、次のように続けている。
「だが、シューマッハに起こる不運は信じられないと言うほかないよ」
これはもちろん、シューマッハが先週末のカナダGP決勝でまたしても技術的なトラブルに見舞われたことを指してのものだ。
高度な信頼性が保たれるのが当たり前のようになっている新時代のF1において、シューマッハは今季ここまでの7レースのうち5レースで完走を逃している。そのため、ここまでの獲得ポイントはわずかに2ポイントにすぎず、ドライバーズランキングにおいても、シューマッハの下にはまだポイントを獲得できていないケーターハム、マルシャ、HRTといったチームのドライバーしかいない状況だ。
「F1では今までこんなことは見たことがなかったよ。彼には本当に気の毒に思う」とザウバーは続けている。
メルセデスAMGのチーム代表であるロス・ブラウンは、カナダGP後に出された公式声明の中でシューマッハに対してトラブルを陳謝するとともに、チームとしては決してシューマッハに劣ったクルマや機材、人材をあてがっているようなことはないと加えた。
さらにブラウンは『Bild(ビルト)』紙に対し、次のように話している。
「われわれの目標は完ぺきな信頼性を実現することだ。われわれはニコ(ロズベルグ/チームメイト)のクルマではこれを達成しているが、ミハエルのクルマはそうではない」
「われわれはこのことに最優先で取り組んでゆく」
しかし、今シーズン限りで現在の契約が満了することになるシューマッハは、こうした状況によって我慢の限界に達してきているとのうわさも流れている。
うわさでは、70周で行われたカナダGP決勝を43周でリタイアせざるをえなかったシューマッハは、レースが終わるのを待つこともなく、さらにエンジニアたちとの報告会へ参加することもなく、すぐにモントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットを立ち去ったとのことだ。
しかし、ブラウンは「ミハエルは彼のエンジニアたちとの報告会はきちんとやったよ」と反論し、次のように続けている。
「ミハエルは、カナダでのレース後の大渋滞に巻き込まれるのを避けたかったんだ」
「われわれにとって価値あるミハエルの特別な才能のひとつが彼のチーム精神であり、とりわけ困難な状況において彼はそれを示してくれるんだ」
シューマッハも自身の公式ウェブサイトの中で次のように述べた。
「F1チームにおける信頼性の記録が常に完全ではないことくらいよく分かっているよ」
「このことで取り乱したり、チームに対する信頼を失ったりすることはない」