フェラーリのフェルナンド・アロンソは、今季ここまで各チームの力が拮抗(きっこう)し、混乱のシーズンとなっているのは、規則があまりにも厳格過ぎるためだと話している。
アロンソは、今年のピレリタイヤが勝敗の行方をまるでくじびきのように左右している状況をみると、F1に対する信頼感が失われてしまうのではないかという懸念があることを認めつつも、それとは別の自説を展開している。
マドリードのイベント会場でスペインの『EFE通信』に、今シーズンが非常に接近した戦いになっているのはどうしてだと思うか、と問われたアロンソは、「その理由のひとつには、毎年のように行われるルールによる規制があると思う」と答え、次のように続けている。
「誰かがダブル・ディフューザー(※1)を考えても、翌年にはそれは禁止されてしまう」
「誰かがFダクト(※2)を考案しても、次の年にはそれも禁止されてしまう。そして、去年はブロウン・エキゾースト(※3)があったけれど、それも今年はなくなってしまった」
「毎年、創造性やクルマの開発の可能性にどんどん制限がかけられているんだ」
そう語るアロンソだが、同時に、優れたチームやドライバーは常にトップの座に上るための道を切り開くものだとも主張している。
「ものすごく接近したシーズンになってはいるけれど、トップに立てるチームはレッドブル、それにマクラーレンとフェラーリだね」
「それに、上位6人か7人のドライバーは、去年と同じ顔触れになるだろうね」
(※1)ダブル・ディフューザーとは、2009年から2010年にかけて各チームが導入した空力パーツ。クルマを地面へ押しつけるダウンフォースを発生させる効果を持つディフューザーの中央部にもう一段空気を流すエリアを設け、二重構造としたもので、通常のディフューザーよりもさらに強いダウンフォースを発生させることができた。2011年から禁止となっている。
(※2)Fダクトとは2010年のF1で流行した技術で、車体に作られた穴から空気を取り込み、リアウイングのすき間から放出することで、一時的にウイングによって発生するダウンフォースを弱めて最高速を向上させるシステム。しかし、この技術はドライバーが操作を行うものであったことから、翌2011年から禁止となっている。
(※3)ブロウン・エキゾーストとは、エンジンから排出される排気ガスを、クルマを地面へ押しつけるダウンフォースを発生させるディフューザーへ吹き付けることでディフューザーの効率を高める技術。レッドブルが先駆的に導入し、2011年シーズンは多くのチームが採用したが2012年には禁止されている。