ロシア出身元F1ドライバーのビタリー・ペトロフは、戦略責任者を務めていたジェームス・ボウルズが離脱したことで、メルセデスのF1タイトル奪還を目指す歩みに支障が出るのではないかと懸念している。
■メルセデス戦略責任者がウィリアムズの新チーム代表に
ウィリアムズは2月20日付けで、メルセデスの戦略責任者を務めていた43歳のヴォウルスを新たなチーム代表として迎えることを発表した。
当初、ヴォウルスのウィリアムズ移籍に関しては、メルセデスがウィリアムズを自分たちのBチームにするための戦略の一環ではないかと考える者もいたが、もちろん、メルセデスはこうした噂を否定している。
■戦略責任者離脱はメルセデスの痛手に?
そして、その一方で、ヴォウルスの離脱によってメルセデスが大幅に弱体化するのではないかと考えている者もいるようだ。
ロシア人として初めてF1を戦った経験を持つ38歳のペトロフは、2023年にメルセデスがタイトル争いに復帰する可能性について質問されると、ロシアの『Championat(カンピオナ)』に次のように答えた。
「すべてはメルセデスがどの程度クルマの問題を解決できるか、そしてジェームス・ボウルズの後任を誰にするかによるだろうね」
「私は、どうして彼らが彼を手放すことができるのか理解できないよ」
「いつまでも人を同じ場所で働かせることができないのは明らかだ」
「次に進みたい、試してみたいと思い、お金を積まれても留まらない人もいる。だから、ヴォウルスがウィリアムズに行く理由は理解できる。だが、問題は彼がいなくなったメルセデスがどうなるかだ」
「しかし、戦略責任者なしでやるのは不可能だよ。だから、彼らは誰かを彼の後任に据えなくてはならない。1人ではなく、何人かになるかもしれないが、誰かに彼の代わりをさせなければならないんだ」
2010年から2012年にかけてルノーやケータハムで戦った経験を持つペトロフはそう語ると、次のように繰り返した。
「戦略家がいなくては不可能だよ」
■大きな影響はないとメルセデスのボス
しかし、メルセデスのチーム代表であるトト・ヴォルフは、ヴォウルスの離脱によってメルセデスが大きな影響を受けることはないと考えているようだ。
「誰かが去り、そのポジションが空いたときに、誰かが昇格するようなことは何度もあったんだ」
「それは、我々が多くの有能な人たちと一緒に仕事をしている証拠だよ」
そう主張した51歳のヴォルフは、次のように付け加えた。
「だから、それで後れをとるようなことはない。この分野での後継者育成については、何年も前から話し合ってきているんだ」