メルセデスは、現在2023年型F1マシンの“基本コンセプト”をどうするかということに頭を悩ませているようだ。
■来年のF1マシンコンセプトに期待するハミルトン
とりわけ、通算7回F1チャンピオンとなった実績を持つルイス・ハミルトンにとっては、今年はまだ1勝もすることができていないだけでなく、今季からチームメートに迎えた若いジョージ・ラッセルに対しても苦戦を強いられているだけに、2023年に向けてF1マシンをいかに自分のドライビングスタイルに合うものにするかが大きな課題となるのは確かだ。
「今、僕は来年のマシンに求めるものを伝えることに集中しているところだよ。だって、あっという間に開発は進むからね」
そう語ったハミルトンによれば、メルセデスの設計者たちはすでにブレーキ、フロントサスペンション、ギアボックスのレイアウトなど、2023年型マシンの主要コンポーネントを決定しているという。
しかし、基本的な空力コンセプトはまだ決まっていないようだ。
メルセデスは2022年には「ノーサイドポッド」とも呼ばれる極端に絞り込んだ革新的なサイドポッドを投入したが、今年のレッドブルやフェラーリのパフォーマンスには届かなかった。それだけに、来年はどういう空力コンセプトで行くかというのがメルセデスにとって最大の課題となるだろう。
■しばらくはコンセプト研究プロセスを続けることになるメルセデス
メルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは次のように語った。
「最速のマシンは最高のコンセプトを持つマシンだと常に言われている」
「つまり、今は、それはレッドブルだ」
「それが来年も続くかどうかはわからない。そして、チームとして、我々のマシンをどのようなものにするかがまだ確定していないのも確かだ」
「我々はまだ異なるコンセプトを研究しているところだし、しばらくの間そのプロセスが続くことになるよ」
■単にライバルF1マシンをコピーすれば済む話ではないとレッドブル技術責任者
メルセデスだけでなく、もうすでにほとんどのチームが2023年型マシンの開発に着手している。そして、来季に向けて、今年圧倒的な強さを見せたレッドブルF1マシンのコンセプトをコピーしようとするチームが出てきても不思議はないだろう。
しかし、レッドブルのテクニカルディレクターを務めるピエール・ヴァシェは、現時点で最速のマシンだからといって、レッドブルのサイドポッドコンセプトをコピーすればいいというような単純なものではないと警告している。
「私にはこのコンセプトがベストなのかワーストなのかはわからない。私は、それはパズルの一部分に過ぎないと思っているんだ」
そう語ったフランス出身のエンジニアであるヴァシェは次のように付け加えた。
「あるコンセプトを中心にマシンを開発し、それを変更した場合、その利点を見出すのが難しいのは確かだよ」