2021年シーズンはメルセデスとレッドブル・ホンダによるタイトル争いが繰り広げられているが、両チームのボスたちの関係もかなり緊張感を帯びてきているようだ。
しかし、母国オーストリアの『Autorevue(アウトレビュー)』から、現在オーストリア出身のトト・ヴォルフ(メルセデス/チーム代表)とヘルムート・マルコ(レッドブル/モータースポーツアドバイザー)の間で何度も辛辣なコメントが交換されていることについてどう思うかと質問された元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、それこそが「F1に必要なものだ」と答えている。
実際のところ、ヴォルフはマルコが自分たちに対して大きなプレッシャーを与えようとしているのは確かだが、逆にそれが自分たちに力を与えることになるのだと次のように語っている。
「それは我々にとってアドバンテージになることなんだ。ニキ・ラウダ(2019年に他界した元非常勤会長)は常にヘルムートは我々にとって最高の武器なのだと言っていた」
「外部からの攻撃は全てチームとしての我々を強くするものだと彼は言っていたんだ」
しかし、今季のF1第6戦アゼルバイジャンGPが開催されているバクーではレッドブルのリアウイングが違法だとしてメルセデスの方から異議申し立てという攻撃をしかける可能性もあるようだ。
ベルガーは、そういう動きがあること事態は何も悪いことではないと次のように語った。
「素晴らしいことだよ」
「それはまさにF1が必要としているものだ。このスポーツにはこうした話があるべきだし、そのためには彼らのような者たちが必要なんだ」
「ヘルムート・マルコはユニークな人物だよ。妥協しないだけでなく、彼の意思、彼の強さ、チームを前進させるために年齢を重ねても全てのレースに帯同するといったやり方をする点でね」
ベルガーはさらに、ヴォルフにも非常に感心していると次のように続けた。
「最初はニキが大いに彼を助けていたのは確かだ。だが、その後トトはF1のあらゆる面に精通した類い希なマネジャーになったと言わざるを得ないよ」
一方、前戦F1モナコGPで勝利したマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が現在ルイス・ハミルトン(メルセデス)を逆転してランキングトップに立っているものの、ベルガーはメルセデスがそうやすやすと引き下がるはずはないと考えている。
「マックスはすごく優秀だし、すごくタフだ。これまでのチームメートと比較すれば分かることだ」
そう語ったベルガーは次のように付け加えた。
「レッドブルは速いマシンを造ってきた。だが、現時点では戦略を完璧に展開できるだけの速さはないね。メルセデスの方にまだ若干のアドバンテージがあるよ」