元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーが、フェラーリが自力でメルセデスに勝つチャンスが訪れるまでにはあと「1年か2年」はかかるだろうと語った。
今年はこれまでにない不調なシーズンを送っているフェラーリだが、最近になってこれまでチーム代表と技術責任者を兼務していたマッティア・ビノットが今後はチーム代表の職務に専念するという体制が整えられたことが明らかとなっている。
2019年から名門F1チームの代表を務めているビノットはスペインの日刊スポーツ紙『AS』に次のように語った。
「技術部門を再編し、組織をまとめるのにしばらく時間がかかってしまった。それは1日でできるようなことではないからね」
「今では適所に適材が配置されているし、彼らはテクニカルディレクターとしての私の職務における責任を引き受けることが可能となっている」
「私に関しては、計画に従って彼らが正しい方向に向かうように監督するなど、やることがたくさんあるよ」
先週末にシルバーストン・サーキットで開催された今季のF1第4戦イギリスGPでは、シャルル・ルクレールが幸運にも2位表彰台を確保することができた。
だが、セバスチャン・ベッテルには速さが見られず、なんとか10位入賞を果たすのがやっとだった。
ベッテルと同じドイツ出身の元F1ドライバーであるクリスチャン・ダナーはテレビ局『RTL』に次のように語っている。
「あのクルマは非常に難しいね。ある状態においては運転不能だよ」
「ベッテルがルクレールよりも平均で1秒も遅かったのはそのためだ」
2期にわたって6年フェラーリのドライバーを務めた経験を持つベルガーは、2019年にフェラーリエンジンの合法性が大きく疑問視されたことがフェラーリの今季の失速原因のひとつだと考えている。
2019年のフェラーリF1エンジン問題に関しては、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)とフェラーリが秘密の合意を結んで一件落着扱いとなったものの、ベルガーは『Sportbuzzer.de』にそのことでフェラーリエンジンのパワーが失われたのは確かだと語り、次のように続けた。
「彼らはこれから失った開発分を追い付いていかなくてはならない」
「フェラーリは1周あたり1秒以上も遅くなっている。それは50馬力か60馬力に相当するんだ。しかし、以前も彼らは総合的なパフォーマンスでメルセデスをしのぐことはできていなかった。だから、あと70馬力か80馬力高める必要があるよ」
「こういうレベルになると、とてつもなく大変な仕事になる」
そう語ったベルガーは次のように付け加えた。
「そうするには1年か2年はかかるだろうね」