フィアット・クライスラー・オートモービルズ(以下「FCA」)は27日、ルノー・グループの取締役会に、1対1の比率による両社の事業統合を提案した。統合会社すれば、年間合計約870万台を販売する世界第3位の完成車メーカーになる。
両社は事業運営に関する議論を重ねてきており、統合会社はEV(電気自動車)や自動運転を含めた技術変革をけん引するグローバル・リーダーを目指す。工場閉鎖は無いという。
本件統合案は、売上高・台数・収益性・技術の観点から両社の株主・ステークホルダーにメリットをもたらすという。
両社の統合案は、オランダに拠点を置く親会社の傘下への統合を想定している。統合会社の取締役会は当初計11名の構想で、過半数が社外取締役で、FCAとルノー・グループから4名ずつの取締役が加わり、日産自動車株式会社(以下「日産」)からも1名が指名される想定だ。
統合親会社は、イタリア証券取引所(ミラノ)、ユーロネクスト(パリ)、ニューヨーク証券取引所に上場の予定としている。
統合会社は高級車の「マセラッティ」や「アルファ ロメオ」、大衆車「ダチア(Dacia)」「ラーダ(Lada)」、「フィアット」「ルノー」「ジープ(Jeep)」「ラム(Ram)」ブランドなど全てのマーケットをカバーする。
ルノー・グループは欧州、ロシア、アフリカ、中東、FCAは北米や南米において強みがある。
統合により年間で推定50億ユーロを超えるシナジーが期待される。統合実施に伴う30~40億ユーロ程度の累積費用は、初年度のキャッシュフローでニュートラルに、2年目以降にプラスに転じる見通しだ。
統合会社と、アライアンス・パートナーである日産および三菱自動車工業株式会社(以下「三菱自動車」)を合わせると、年間1,500万台以上を販売する世界最大の完成車メーカー・アライアンスとなり、年間推定約10億ユーロのシナジーが追加されると試算している。