今月からマクラーレンの新たなチーム代表として業務を開始したアンドレアス・ザイドルに大きな期待が寄せられているようだ。
これまでにのべ12人のF1チャンピオンを輩出し、8回のF1コンストラクターズタイトル獲得記録を持つイギリスの名門F1チームであるマクラーレン。だが、2008年のルイス・ハミルトンを最後にタイトルからは見放されており、2012年の第20戦ブラジルGPを最後に優勝からも遠ざかっている。
状況を打開すべく2015年にはホンダをエンジンパートナーに迎えたもののマクラーレンは一層深刻な低迷状態に陥ってしまい、ホンダとの関係を解消してルノーエンジンに積み替えた2018年もその状況が大きく変わることはなかった。
しかし、カルロス・サインツと新人のランド・ノリスというドライバー体制で臨んでいる今季は、過去数年に比べれば間違いなくマシンの競争力がアップしてきている。
ここまでさまざまな組織改革に取り組んできているマクラーレンだが、今月からWEC(世界耐久選手権)の最高峰カテゴリーLMP1で大成功を収めたポルシェチームの代表を務めていたザイドルがチーム新代表として着任。その手腕に期待が膨らんでいる。
マクラーレンで長くチームコーディネーターを務めていたジョー・ラミレスは次のように語り、BMW在籍時代にはF1やDTM(ドイツ・ルーリングカー選手権)でも優れた手腕を発揮していたザイドルへの期待感を示している。
「彼は新たな環境に慣れていく必要がある。だが、アンドレアスは優れた実績を残しているよ」
さらに、かつてマクラーレンで走っていたことがある元F1ドライバーのマーティン・ブランドルは、オランダの『Formule 1(フォーミュレ1)』に次のように語っている。
「彼は違いを生み出すことができる素晴らしい人材だよ」
「F1はF1だ。だが、ル・マン(WEC)が輸送面や基盤づくりにおいてどれほど難しいものかということを過小評価してはならないよ」
「彼がポルシェでやったことは素晴らしかった。そして、ステレオタイプ化のリスクを冒してでも、彼はマクラーレンにドイツ式の構造や規律について1つか2つのことを教えることができる」
また、F1スペインGPが開催されたバルセロナでレーシングポイントと行動を共にしていた元F1ドライバーのファン・パブロ・モントーヤもザイドルについて次のように語った。
「よりよい結果に導ける優れた人物だよ」
「ポルシェで仕事を始める前には、彼はBMWでF1をやっていたんだ。彼はすでに両方の世界を知っているよ」
ちなみに、モントーヤは2001年にBMWウィリアムズからF1デビューを飾っている。