メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフが、レッドブルへのPU(パワーユニット)供給を断った理由を語った。
2017年のF1シーズンにおける重大ニュースのひとつにあげられるのが3年におよんだマクラーレンとホンダの関係が解消されたことだろう。
伝説的コンストラクターの復活として大いに注目されたマクラーレン・ホンダだったが、2015年のプロジェクト開始以来3年間にわたって悲惨とも言うべき低空飛行の連続となり、ついに2017年にマクラーレンがホンダとの関係解消に踏み切った。
■トロロッソ・ホンダを実現させたレッドブルの狙いは?
水面下で行われた“複雑な交渉”の結果、2018年からマクラーレンはルノーをパートナーとして迎えることになり、ホンダはレッドブルのジュニアチームであるトロロッソにワークスPUを供給することが決まった。
そして、うわさによれば、2018年のホンダPUのパフォーマンス次第では2019年にレッドブル・ホンダが誕生する可能性が高いと言われている。
実際のところ、かつて2010年から2013年までF1タイトルを独占してきたレッドブルとルノーだが、2014年に現行PUが導入されて以来、レッドブルがルノーに対して批判を繰り返したことから、両者の関係は悪化の一途をたどってきている。そして、最終的にレッドブルとルノーのパートナーシップは2018年で終了することになっている。
そうなった場合、レッドブルは2019年には現行PUサプライヤーのメルセデス、フェラーリ、ホンダのいずれかと手を組むしかなくなるわけだが、事実上メルセデスやフェラーリと組む可能性はかなり低いと考えられている。
■レッドブルにはパートナーに対するリスペクトが足りない
かつてレッドブルからPU供給の可能性について問い合わせを受けた際にその申し出を拒否したという経緯があるメルセデスだが、ヴォルフはその理由はレッドブルが長年のパートナーであったルノーに対する批判を繰り広げたことにあったと『ESPN』に次のように語った。
「それはまさに、彼らがそういうことを言って現在のパートナーの名声を傷つけるようなことをしているためだよ。だから彼らにはパートナーがいないんだ」
「F1では、これはプライベートライフだろうがビジネスライフだろうが、人生のすべてにおいて同じことが言えるが、妥協すること、そしてパートナーの強みや弱みを理解し、お互いに助け合うということが大事なんだ」
そう語ったヴォルフは、次のように締めくくっている。
「メルセデスにはそういう文化が根ざしているし、それが過去数年にわたって成功を収めることができた理由だよ。我々の価値観においては相手をリスペクトすることが非常に重要な位置を占めるものであり、我々が現在のパートナーたちを選んだ理由はそこにあるんだ」