世界的エナジー飲料メーカー「レッドブル」の総帥でありF1にレッドブルとトロロッソの2チームを送り込んでいるディートリッヒ・マテシッツが、現時点ではマックス・フェルスタッペンには行き場はないと語った。
■度重なるトラブルに不満を募らせるフェルスタッペン
先週末に行われた今季のF1第12戦ベルギーGPもマシントラブルによるリタイアで終えたフェルスタッペンの不満レベルを示す針はいまやレッドゾーンに入っていると言っても過言ではないだろう。
なにしろフェルスタッペンはここまでの12戦のうちその半分にあたる6レースでリタイアを余儀なくされているのだ。
マテシッツも『Speedweek(スピードウィーク)』に対し、「トラブルが起きる率が50%というのは受け入れられるものではない」と認めている。
元F1ドライバーであるフェルスタッペンの父親ヨス・フェルスタッペンも次のように語った。
「マックスがすごく腹立たしく思っていることには気づいているよ」
「常にこういうこと(マシントラブル)が起きれば、モチベーションを維持するのも大変なんだ。彼は予選ではチームメート(ダニエル・リカルド)よりもコンマ5秒も速かった。ところがレースでは7周か8周で突然リタイアせざるを得なかったんだからね」
「トップチームではこういうことがあってはならないよ」
■契約解除も考えざるを得ないとヨス
最近のフェルスタッペン親子の言動を見る限り、契約がある2019年までレッドブルでモチベーションを維持し続けることができるとは考えにくい。
だが、契約破棄も考えているかと質問されたヨスは次のように答えている。
「今はその質問をするのにふさわしい時ではないと思う。だが、こういう状況を抱えれば、あらゆることに疑問符が付き始めるものさ」
■現実的には移籍先がないフェルスタッペン
とは言え、現時点においてレッドブルよりも上位に位置しているのはメルセデスAMGとフェラーリの2チームしかない。フェラーリはすでに2018年もドライバー体制に変更はないことが決まっており、メルセデスAMGも来季までの契約があるルイス・ハミルトンに加えてバルテリ・ボッタスももうすぐ契約延長が発表されることになると考えられている。
仮にフェルスタッペンがレッドブルとの契約を解消できたとしても、少なくとも2018年にはトップチームへ移籍できるチャンスはない。
マルコはドイツのテレビ局『Sky(スカイ)』に次のように語った。
「我々は残りのチームの中では最高のチームなんだ」
さらにマテシッツも、フェルスタッペンには行く場所はないと次のように続けた。
「現時点では、彼には行き場がないだろう? だが、我々が今後も(勝てる)クルマを与えることができなければ、マックスをとどめておくことはできないことも分かっている」
■今はルノーに期待するしかないレッドブル
フェルスタッペンが抱えたトラブルを始め、レッドブルがメルセデスAMGやフェラーリと肩を並べることができない最大の理由はルノー製パワーユニットにあると考えられている。
だが、マテシッツはそのことに愚痴を言っても始まらないと次のように付け加えた。
「我々はメルセデスあるいはフェラーリ(パワーユニット)を手にいれることはできない。それにホンダも我々の役には立たないだろうしね」