今週末のF1カナダGP(11日決勝)では、あまり極端な形状をした“Tウイング”は登場しないかもしれない。
大幅にレギュレーションが変更された今年のF1だが、そのマシンにはエンジンカバー上部に“シャークフィン”と呼ばれる大きな整流板が備えられるとともに、そのシャークフィンとリアウイングの間に“Tウイング”と呼ばれる小さなウイングが設けられるのがトレンドとなっている。
■モナコでは3段型も登場したTウイング
だが、これらの空力アイテムは見た目があまりよくないということで、2018年からは禁止されることになっている。特にテレビの室内アンテナのような形状をしたTウイングについてはF1カーにはふさわしくないとの声も少なくない。
しかし、空力によるダウンフォースやメカニカルグリップが非常に重要な要素となるモンテカルロ市街地サーキットで行われた前戦モナコGPには、かなり極端とも言えるTウイングを投入したチームも少なくなかった。
もともとシャークフィンやTウイングの導入には反対の立場をとっていたレッドブルさえモナコには2段型のTウイングを投入していたのに加え、フォース・インディアのF1カーには3段型のものまで取りつけられていた。
■低速サーキット以外ではシンプルな形状に
しかし、フォース・インディアのテクニカルディレクターを務めるアンドリュー・グリーンは、今後はこれほど極端なTウイングを使うことはないだろうと考えているようだ。
「3段型は我々にとってはこれが上限だよ」
「我々はこのレース(モナコ)に特化してそれを作ったんだ。恐らく、シンガポール(第14戦/9月17日決勝)あるいはハンガリー(第11戦/7月30日決勝)ではこれと少しだけ違うものを使うことになるだろうがね」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったグリーンは、次のように付け加えた。
「だが、ほかのサーキットではTウイングはもっと小さくなると思う。あれはかなりの空気抵抗を生むからね」
長いストレートが多いジル・ビルヌーブ・サーキットでは、ストレートスピードが重要な要素となる。このため、カナダでも空気抵抗をいかに減らすかが課題のひとつとなるため、Tウイングもモナコよりはかなりシンプルなものとなる可能性がありそうだ。