F1界の大御所のひとりである元F1ドライバーのジャッキー・スチュワートが、メルセデスはF1から手を引くべきだと語った。
ジェンソン・バトンを擁して2009年のF1タイトルを獲得したブラウンGPを買収し、2010年からフルワークス体制でF1参戦を開始したメルセデス。F1ルールが大きく変わり、パワーユニットが導入された2014年シーズンからは圧倒的な強さを誇り、2年連続でドライバーズタイトル、コンストラクターズタイトルを獲得。
そして、今年もメルセデスAMGがF1タイトル3連覇を果たすのは間違いないと考えている者が多い。
■3連覇達成を機にメルセデスはF1から手を引くべき
現役時代に3度F1チャンピオンに輝いた実績を持つ76歳のスチュワートは、ブラジルの『Globo Esporte(グローボ・エスポルチ)』に次のように語った。
「私はメルセデスが今年も両タイトルを獲得すると信じているよ」
「だが、もし私が(メルセデスの)意思決定グループのメンバーだったら、私はメルセデスがF1を止めることを提案するだろうね。彼らはかつて似たような状況のもとでそうしたことがあった」
「私ならエンジンサプライヤーとして残り、望む者にエンジンを供給するだろう。フォードがコスワースと一緒にやったようにね」
「フォード・コスワースは我々とともにチャンピオンとなった」
かつてマトラとティレルでF1タイトルを獲得した時期に言及しながらそう語ったスチュワートは次のように付け加えた。
「だが、今日ではフォード・コスワースがマクラーレン、ウィリアムズ、そしてロータスでもタイトルを取ったということを知らない者はいない」
■負ける前に撤退したほうがブランド戦略的には有利
スチュワートは、メルセデスAMGもいつかはフェラーリなどのライバルに負けてしまう日が来るということを考えれば、自分の提案はいい考えのはずだと主張している。
「取締役会はそれを見たいとは思っていないはずだ。メルセデスは自動車産業界において高い評価を持つ世界的ブランドだからね」
スチュワートは、もし自分がメルセデスの取締役会メンバーであればこう発言するだろうと次のように続けた。
「諸君、我々はF1にどれくらいのコストをつぎ込んでいるかね? 分かった。金は問題ではない。我々には大きなスポンサーがあるからね。だが、我々がフェラーリやレッドブル、あるいはほかのライバルたちに敗れてしまうというリスクがあることを忘れてはならない」
「恐らく、こんな風に考えているのは私くらいのものだろう。だが、私だったらまさにそう(F1撤退)するよ」
1997年から3年間チームオーナーとしてF1参戦していたこともあるスチュワートは、次のように付け加えた。
「それはメルセデスにとっていいばかりでなく、F1にとってもいいことだよ」