公式サイトFormula1.comの有料版ではもう少し詳しいタイヤ情報も出ているが、ここでは公開されている情報で「タイヤ戦略」について簡単に触れてみたい。
※表のタイヤの見方。
赤丸・黒文字S=【新品スーパーソフトタイヤ】。
赤枠・赤文字S・黒塗り=【使用済みスーパーソフトタイヤ】。
以下、予選から決勝レースまでを時系列で追ってみる。
■予選でのタイヤ使用状況
下位チームはQ1突破のために新品タイヤを投入し、上位チームほどタイヤに余裕があったことがわかる。
FINAL PROVISIONAL QUALIFYING CLASSIFICATION*
*Rio Haryanto will start from P22 following a grid penalty#AusGP pic.twitter.com/JVseLkhaAr
— Formula 1 (@F1) 2016年3月19日
■レース前のタイヤ残数
ピレリが公開した表を見てみよう。
新品のスーパーソフト(レッド)を4本も残しているダニール・クビアト(レッドブル)に注目だ。後半に使って追い上げるプランだったのだろうか。
Here are the new and used tyre sets available for each driver at today’s @ausgrandprix: pic.twitter.com/6Rv1EIkiKa
— Pirelli Motorsport (@pirellisport) 2016年3月20日
■決勝レースでのタイヤ使用状況
スターティンググリッドにつくことができなかったダニール・クビアト(レッドブル)はミディアムタイヤでのスタートを選択していたが、その他のドライバーは序盤をスーパーソフト(レッド)またはソフト(イエロー)タイヤで挑んだため激しい戦いになった。
■フェラーリとレッドブルはタイヤに優しい
レース終盤、ほとんどのマシンがミディアムタイヤ(ホワイト)を履いたが、完走しているドライバーの中で3位ベッテル(フェラーリ)と4位リカルド(レッドブル)だけは各々スーパーソフトとソフト計4本だけで57周を走りきった。
ベッテルは使用済みスーパーソフトタイヤで17周も、途中リタイアしたキミ・ライコネン(フェラーリ)も使用済みスーパーソフトタイヤで15周も走行。ライコネンもリタイアするまではベッテルと同じタイヤ戦略だったとみられるため、フェラーリはタイヤに優しいようだ。
#PZero Pit Stop strategies! Our breakdown of the different #F1 strategies seen at #AusGP: https://t.co/6iCZyHmgwd pic.twitter.com/950yJ4zr93
— Pirelli Motorsport (@pirellisport) 2016年3月20日
■最も長く走行したのは?
●ミディアム(ホワイト)
41周:ケビン・マグヌッセン(ルノー)
41周:ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)
●ソフト(イエロー)
24周:ダニエル・リカルド(レッドブル)
●スーパーソフト(レッド)
17周:セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
■最速ラップは?
●ミディアム(ホワイト)
1:30.557 ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)
1:30.646 ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)
1:31.516 マックス・フェルスタッペン(トロロッソ)
●ソフト(イエロー)
1:30.137 セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
1:31.278 ダニエル・リカルド(レッドブル)
1:31.298 ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)
●スーパーソフト(レッド)
1:28.997 ダニエル・リカルド(レッドブル)
1:29.951 セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
1:30.701 キミ・ライコネン(フェラーリ)
Top #PZero performances at the #F1 season opening race #AusGP - https://t.co/6iCZyH4FEF pic.twitter.com/xvcLhhlzQE
— Pirelli Motorsport (@pirellisport) 2016年3月20日
■冬季テストの結果が反映されている
冬のテストでは、フェラーリ勢が軟らかいタイヤで最速タイムを連発し、逆にメルセデスAMGは硬いミディアムタイヤでロングランを行い最速タイムを出し続けていたが、シーズン前のテスト結果がそのまま開幕戦のタイヤ戦略に表れたようだ。
(参照:●【全8日間まとめ】最速は誰?最長走行は?数字で見るバルセロナ合同テスト)
■メルセデスAMG優位変わらず
メルセデスAMGはテスト中、ほぼミディアムタイヤだけで、目立ったトラブルなしに1年分のレース周回数を走行してしまっただけに、トラブルの心配は少なそうだ。そしてミディアムタイヤで速い=レースで速いということにもなる。
■フェラーリはスピードが足りない
フェラーリはテストで13レース分を走り込んでいる。スーパーソフトやソフトでの速さとタイヤの持ちは良さそうだが、勝ち星を増やしたいならさらにスピードが必要だ。
■トロロッソはダークホース
また、フェラーリ2015年モデルのパワーユニットながら、テスト中に16レース分たっぷり走り込んだトロロッソも、開幕戦の走りを見るかぎり侮れない。
マックス・フェルスタッペンの父ヨスは、来季上位チームへのステップアップを広言している。すでにメルセデスAMGも狙っているとヴォルフが発言している。(参照:●明日のメルセデスAMGを背負って立つのは誰だ?フェルスタッペンが有力候補に)
■決勝レースでのタイヤ選択
FINAL PROVISIONAL CLASSIFICATION #AusGP pic.twitter.com/xk8GhfCajO
— Formula 1 (@F1) 2016年3月20日
各チームの各タイヤへの相性は、今後のシーズンを占う上で重要なポイントになるだろう。
タイヤに優しいフェラーリは、もっとスピードがほしいところだ。