ミハエル・シューマッハのヘルメットに装着されていたGoPro社製のパーソナルビデオカメラが、シューマッハのけがの程度を大きくしたのではないかとの推測がなされていたが、ドイツの主要日刊紙である『Die Welt(ディー・ヴェルト)』が、それは「正しくない」と報じた。
シューマッハのスキー事故現場にはヘルメットがこなごなに壊れ、その破片が散乱していたことで、カメラが装着されていたためにヘルメットの強度が弱められていたのではないかとの報道が行われていた。それらの記事は、シューマッハが岩に頭をぶつけた際に、そのカメラがハンマーのような働きをしてしまったのではないかとの推測を紹介していた。
フランスの技術研究機関であるCRITTの関係者は、その記事の中で「悪い角度で当たった場合には(カメラが)ヘルメットを粉砕するような衝撃効果を持つ可能性はある」と述べていた。
そして、ヘルメットメーカーのウベックス社は、特別な衝撃が加わったような場合には、カメラがヘルメットの「防御効果に影響を与えるかもしれない」と語った。
だが、『Die Welt(ディー・ヴェルト)』は、今回の事故に関して誰にも過失はなかったとの判断を下したフランスの捜査当局が、そうしたカメラによる影響があったのではないかという説に対して反証をあげたと報じた。
それは、「シューマッハは頭の右側から岩にぶつかっている。カメラはヘルメットの中央に備えられており、無傷のまま残っていた」ためだという。
『Die Welt(ディー・ヴェルト)』は次のように付け加えている。
「このため、ビデオ素材は何ら損傷を受けていなかったし、メモリーカードも完全に分析することが可能だった」
元F1ドライバーで7度世界チャンピオンに輝いた経験を持つシューマッハ。事故発生から間もなく2か月となるが、いまだ意識を取り戻していない。