マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が圧倒的な成功を収めた秘訣のひとつは、幼少期にチームメイトを「破滅させる」ことを学んだことだ。そう主張するのは、フェルスタッペンがトロロッソでのF1ルーキー時代に、現在のトリプル・ワールドチャンピオンと密接に仕事をしたグラハム・ワトソンだ。
「ヨス(フェルスタッペンの父)はマックスに、まずチームメイトを破滅させることだと教え込んだ」と、現在F1のレースオペレーション責任者を務めるワトソンはオランダの『Formule 1(フォーミュラ1)』誌に語っている。ワトソンは、90年代後半に父ヨスともホンダのプロジェクトで密接に仕事をしていたことから、マックスがF1に集中する独自の視点を持っている。
「私はホンダ時代にヨスをよく知るようになった」
「そして、マックスが間違いなく父親から受けたと思うのは、ドライバーとして必要なものは何でも手に入れるということだ。チャンスはたいてい一度きりだからね」
■ミハエル・シューマッハが教育に影響?
ワトソンは、マックスの父ヨスがベネトンでミハエル・シューマッハのチームメイトだったころ、F1キャリアの初期にその教訓を学んだと考えている。
「ヨスはミハエルがより優れた素材を持っていて、優遇されていると感じていたと思う。ヨスはそれを受け入れるのが難しかったようだ」
「フラビオ(・ブリアトーレ、当時ベネトンのチーム代表)はミハエルとスポーツ面でも個人的にも強い絆で結ばれていた。だからこそヨスはマックスに、チームメイトを破滅することが最初の仕事だとかなり早い段階から刷り込んでいたのだと思う。そして、我々はここ数年、彼がそうするのを見てきた」
「自分のチームでなければならない。その中心にいる男でなければならない。私はマックスがそうであったと確信している。まずチームメートを打ち負かし、それからタイトルを獲得するんだ」。
■ハミルトンはブランド、フェルスタッペンはF1ドライバーでオタク
フェルスタッペンのトロロッソでの最初のチームメイト、カルロス・サインツは最終的にフェラーリに移籍した。しかしワトソンは、「最初の瞬間から」トップに立つのはサインツではなくマックスであることは明らかだったと言う。そして今、フェルスタッペンは7度のワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトンと比べても際立っているとワトソンは考えている。
「ルイスは非常に才能がある。しかし、彼はあまりにも多くのことに関与しているため、人々は『彼はF1ドライバーなのか、そうではないのか?ルイス・ハミルトンはブランドであり、マックス・フェルスタッペンはF1ドライバーだ」
「ハミルトンがやっていることが間違っているとは言わないが、彼はマックスのようなオタクではない。ああいう連中はマシンに乗っていないときはシミュレーターやカートに乗っている。彼らは常に自分を向上させようとしているんだよ」。