レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、今季のF1第17戦日本GPが開催される今週末の鈴鹿サーキットではレッドブルが本来の強さを発揮できると考えている。
昨年の最終戦アブダビGPから15連勝を続けていたレッドブル、そして今季の第5戦マイアミGPから10連勝を飾っていたマックス・フェルスタッペンだが、先週末の第16戦シンガポールGPでは予想もしなかった不振に襲われ、ついにその記録がストップしてしまった。
■シンガポールでの失速は「驚き」だったとクリスチャン・ホーナー
先週末のシンガポールGPから統括団体であるFIA(国際自動車連盟)によるウイングなどのたわみ検査が厳しくなっているが、F1関係者の中にはレッドブルが突然不調に陥った原因はそこにあったのではないかと考えている者もいるようだ。
しかし、奇妙なことに、レッドブルはもちろん、ライバルチームですら、シンガポールでの失速はそのこととは関係がないと主張している。
「みんながそのせいにしたいのはわかるが、残念ながら我々にはそれはできないんだ」
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーはそう語ると、次のように続けた。
「我々は、マシンのコンポーネントはモンツァ(第15戦イタリアGP)から何ひとつ変えていないんだ」
「週末が始まる前から、シンガポールではもっと接戦になることはわかっていたよ。だが、実際に起きたことは我々にとって驚きだったよ」
■FIAの検査強化は関係ないとメルセデスのヴォルフ
メルセデスのチーム代表であるトト・ヴォルフは、かつて自分たちが最強を誇っていたときも、やはりシンガポールで痛い目に合ったことがあったのだと次のように語った。
「最強のマシンでシンガポールに来たらパフォーマンスを発揮できないのがどういう感じなのか、我々は知っているよ」
「私は、それは(FIAによる)技術的指示のせいではなかったと確信しているよ。それによって変わったことは何もないんだからね」
もうひとつの仮説は、今年のマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットにはレイアウト修正が施されてコーナー数が昨年までよりも4つ少なくなったことや、新たに舗装された路面が予想以上に滑らかだったことにレッドブルがうまく対応できなかっただけだというものだ。
■原因はほぼ理解できているとヘルムート・マルコ
こうした中、オーストリア出身のマルコは、ドイツの『Bild(ビルト)』紙に次のように語っている。
「なぜこうした問題を抱えたのか、我々はおおよそのことはわかっていると思う」
「私は、今回の予選での謎は、鈴鹿では起こらないという自信に満ちているよ」
実際のところ、マルコはシンガポールGP決勝でも、セーフティカー導入のタイミングさえ悪くなければ「マックスがこのレースで勝っていただろう」とさえ語っている。
マルコはさらに、母国オーストリアの『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥング)』紙にも次のように語っている。
「今では鈴鹿を楽しみにしているよ。なぜなら、さっきも言ったように、我々はその問題を理解しているからだ」
「我々が、あそこでは立ち直ることができると全く楽観的に考えているのはそのためさ」
そう語った80歳のマルコは、次のように付け加えた。
「あのサーキットは我々のマシンに合っているし、何よりポジティブなのは、我々のスピードがすでに戻っているのを目にしたからだよ」