レッドブル・レーシングとその姉妹チームであるアルファタウリのドライバープログラム責任者であるヘルムート・マルコが、不振が続いているニック・デ・フリースには、これから大きくパフォーマンスを改善してみせる必要があると語った。
●【2023F1第10戦オーストリアGP】全セッションの開催日時、タイム結果(スプリント開催)
■大きなプレッシャーを抱えるデ・フリース
28歳のオランダ出身ドライバーであるデ・フリースがレースシートを失う可能性が高くなってきていることは明らかだ。
80歳のマルコは今週、デ・フリースを2023年にアルファタウリで起用することに関してはレッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーが反対していたことを明らかにするとともに、現時点では「彼(ホーナー)が正しかった」とコメントしている。
1972年と1974年のF1チャンピオンであるブラジル出身のエマーソン・フィッティパルディは、『Wettfreunde(ヴェットフラウンデ)』に次のように語っている。
「自分に対して異なる意見を持つ2人のボスがいれば、プレッシャーは増すばかりだよ」
「デ・フリースが抱えるプレッシャーはものすごく大きいはずだ」
■大幅な改善が必要だとヘルムート・マルコ
だが、マルコは、レッドブルにとってのホームレースとなるF1オーストリアGP(7月2日決勝)の週末を迎えた今も、『APA通信』に対してデ・フリースが「期待を下回っている」のは確かだと認め、次のように続けている。
「我々はタイムリミットは設定してはいない。だが、注意深く見ているよ」
「我々は大幅な上昇を期待している。特に今後は彼がよく知っているサーキットが続くからね」
29日(木)に、自身に関する最近のコメントをどう思うかと質問されたデ・フリースは次のように答えている。
「もしも僕がコース上で彼が間違っていることを証明してみせれば、マルコ博士もありがたいと思うだろうね」
「そのことについて感じているのはそれが全てだし、それは自分の力の及ぶ範囲だ。だから、それだけだ」
デ・フリースは、今最もやってはいけないことは、ペースを上げようと「無理をする」ことだと主張している。
■ストレスを感じ過ぎないようにするべきだとフェルスタッペン
デ・フリースと同じオランダ出身のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)も、かつてF2選手権とフォーミュラEで年間チャンピオンとなった実績を持つデ・フリースは、批判には耳を傾けないようにすることが必要だと次のように語っている。
「結局のところ、上の人間が何を言おうがどうでもいいことなんだ。大事なのは、僕たち全員がやっているように、週末からどう学ぶか、ミスからどう学ぶかだ。マシンをもう少しうまく乗りこなすためにね」
「そのことでストレスを感じ過ぎてはだめなんだ。だけど、自分のパフォーマンスに影響や違いを与えることができる関係者たち一緒に懸命に取り組むだけだよ」
「でも、僕がそれを彼に言う必要はないんだ。彼もそれは分かっているよ。彼には多くの経験があるからね」
■自分とデ・フリースは置かれた状況が違うと角田
一方、チームメートである角田裕毅は、デ・フリースには「速さがある」と主張している。
「彼に必要なのはリズムをつかむことです。過去に彼はすでに実力を示していますし、きっと彼はうまくやれると思います」
そう語った角田だが、自分も昨年まではF1での生活に苦労したことを覚えている。レッドブルは、特に角田のメンタル面をサポートするために、イギリスに住んでいた角田をアルファタウリのファクトリーがあるイタリアのファエンツァに引っ越させ、チーム代表のフランツ・トスト直々に面倒を見させるようにしていた。
「ニックの状況は自分のケースとは違うと思っています。というのも、僕の問題は僕だけに関するものではなかったからです」
当時のことについてそう語った23歳の角田は、次のように付け加えた。
「僕はたくさんのことを改善しなければなりませんでした。しかし、チームは問題が僕だけのものではないことを知っていたんです」。