ジョージ・ラッセルは、自分が所属しているウィリアムズがついに正しい方向へ向かって動き始めたと考えている。
かつては最強F1チームとしてその名をはせたイギリスの名門プライベートチームであるウィリアムズだが、近年はグリッド後方に沈む苦しい戦いが続いていた。
だが、今年はついに最下位から抜け出せるのではないかという期待感がチーム内に膨らんでいるようだ。
ウィリアムズの設立者でありオーナーとしてチームを牽引してきたフランク・ウィリアムズはすでに数年前から現場の第一線を退いており、娘のクレア・ウィリアムズが事実上のチーム責任者を務めていた。
だが、ウィリアムズは2020年8月に投資会社ドリルトン・キャピタル社にチームを売却。ウィリアムズ・ファミリーはチーム運営から完全に手を引き、現在は新オーナーのもとで新たなチーム体制建て直しが図られている。
その大きな柱となるのが今年2月にヨースト・カピートが新CEOとして迎えられたことだろう。
「彼によってチームにいい雰囲気とやる気がもたらされたことに感銘を受けているよ」
今年ウィリアムズで3年目のF1シーズンを迎えている23歳のラッセルはそう語ると次のように付け加えた。
「彼はとても親しみやすい人だし、ガレージにいる誰とでも話をするんだ。彼は今後数年間にわたってウィリアムズにいい影響を与えると思うよ」
かつてフォルクスワーゲンのモータースポーツ部門を率いていたカピートは今年3月には同じくフォルクスワーゲンで活躍していた技術者フランソワ-クサヴィエ・ドゥメゾンをチームに招き、テクニカルディレクターに任命している。
2019年シーズン開幕前にそれまでテクニカルオフィサーを務めていたパディ・ロウがチームを去って以来、ウィリアムズには技術責任者が誰もいない状況となっていた。だが、ドゥメゾンの加入で再びウィリアムズの技術部門を統括する人物が誕生したことになる。
「僕がウィリアムズに来て以来ずっとテクニカルディレクターがいなかったんだ。考えてみれば、それはかなりとんでもないことだよ」
「つまり、多くの人たちが本来であればやらなくていいことをずっとやってきていたということだからね。テクニカルディレクターがうまくまとめてくれれば、メカニックやエンジニアたちはまた自分たち本来の仕事に集中することができるよ」
そう語ったラッセルだが、昨年までチームを率いていたクレア・ウィリアムズを責めるつもりはないと次のように付け加えている。
「可能な限り速いF1マシンを造ることよりもチームを存続させることを優先しなくてはならなかったわけだからね」