F1スペインGPの舞台としておなじみのバルセロナ-カタルーニャ・サーキットが来年もF1を開催できるかどうかさらに不透明な状況となってきているようだ。
今年同サーキットの新社長に就任したマリア・テイクシドールは、わずか1週間ほど前にも2021年の開催契約締結に向けてF1オーナーであるリバティ・メディアとの交渉を行う準備をしていると語っていた。
ところが、かつてFCバルセロナの取締役を務めていたことでも知られるテイクシドールが突然同サーキットの代表職を辞任したことが明らかとなった。
バルセロナのローカル紙である『La Vanguardia(バングアルディア)』によれば、これを受けて急遽地元の政治家であるロマン・トレモサがテイクシドールの後任を務めることになったという。
「彼女(テイクシドール)のことは残念だが、その決断を尊重する」
突然辞任したテイクシドールについてそう語ったトレモサは次のように続けた。
「だが、我々は現在緊急事態にある。そのため、私が一時的にサーキットの代表を引き受けることにしたものだ」
「我々にはF1との契約交渉を10月中に成功裏に終わらせることを請け負う必要がある」
「私が代表を引き受けたのは、事態を安定させ、この非常に奇妙な状況から抜け出すためだ」
「短期的な目標はF1だ。10月中に合意できるように努めなくてはならないし、その後(サーキットの)運営モデルを検討していくことになる」
トレモサは、リバティ・メディアとの交渉にあたってはほかのサーキット関係者の力を借りることもありえると次のように続けた。
「もし適切にできるのであれば私が交渉をリードするつもりだ。しかし、私はF1に関しては詳しくはない。それに関しては私よりももっと適任な人たちがいる」
トレモサはさらに、新型コロナウイルスによる財政的打撃を受けたこともあり、リバティ・メディアとの交渉は困難なものになる可能性もあると認めている。
「来年はどういう状況になるのか分からないし、それによって誰もが再考を迫られるだろう」
そう語ったトレモサは次のように付け加えた。
「F1がどうするのか様子を見ることになる。だがどちらの陣営も1年前と同じ資金を有しているとは思わないよ」
1991年以来ずっとスペインGPを開催してきているバルセロナ-カタルーニャ・サーキットだが、近年は財政的問題もあり、F1カレンダーから消えることになりそうだとのうわさが常にささやかれていた。
2019年にそれまでの契約が満期を迎えた際には2020年以降の開催継続が危ぶまれたが、1年だけ契約を更新することで決着を見たという経緯がある。
その2020年のレースは新型コロナウイルスにより無観客レースとしての開催となったが、今年は財政的にこれまで以上に厳しい状況に置かれているのは確かであり、2021年以降もF1開催が継続できるかどうかは非常に不透明な状況にあると見ていいだろう。