メルセデスAMGのバルテリ・ボッタスが、今のところ世界3大自動車レースと呼ばれるF1モナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースすべてを制覇する“3冠”を狙うことは考えていないと語った。
これまでにこの“3冠”を達成したドライバーは1人しかいない。1950年代から70年代にかけて活躍したイギリス人ドライバーのグラハム・ヒルだ。
当時はF1に参戦するドライバーがほかのカテゴリーのレースに出走することもそれほど珍しいことではなかった。だが、各カテゴリーの年間レース数増加し、日程が重なることが増えたことなどもあり、F1ドライバーがほかのカテゴリーでレースをすることは極めて少なくなり、近年はこの“3冠”を狙うこと自体が現実的な目標にはなりえないとも考えられていた。
■“3冠”挑戦を公言するアロンソ
ある意味でそれに一石を投じたのが2015年にF1とかけもちでル・マン24時間レースに参戦し、見事初優勝を飾ったニコ・ヒュルケンベルグ(現フォース・インディア)だったかもしれない。
それに触発されたこともあってか、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)が最近この“3冠”達成を目標として公言。2017年にはすでに優勝経験を持つモナコGPを欠場してアメリカのインディ500に初挑戦を行っている。そしてアロンソは2018年にはなんとF1とかけもちでル・マン24時間レースを擁するWEC(世界耐久選手権)にもフル参戦することが決定している。
■自分はF1に集中するとボッタス
将来、そのアロンソと同じように“3冠”実現に挑戦したいという気持ちはあるかと尋ねられたボッタスは、母国フィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』に次のように答えた。
「彼(アロンソ)がそれに挑戦するための時間とエネルギーがあると感じているのであれば、問題はないだろうね」
「恐らく、彼は新しいことに挑戦したいんだろう。彼はもうかなり長くF1をやってきたからね」
そう語ったボッタスは次のように付け加えた。
「だけど、現時点においては、僕はF1シーズンとかけもちでほかのシリーズへの出走を始めたいとは思わないな。それよりF1に完全に集中したいと思う」
■F1レース数増加で“3冠”達成はより困難に
実際のところ、F1カレンダーは今季すでに全21レースを数えるに至っており、F1新オーナーのリバティ、メディアは今後さらにレース数を増やしていきたいという意向を持っている。そうなれば、ほかのカテゴリーとのかけもちは一層困難なものとなっていくだろう。
「今は21レースだけど、25レースが限界なのは確かだよ」
「そうするには輸送などが難しくなっていくだろうしね」
そう語ったボッタスは次のように結んでいる。
「そのことを考えるための人たちがいるけれど、もしチームにもっと人数を増やす必要が生じればコストもさらに膨らむだろうね」