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【ホンダF1】“最後”の鈴鹿後「世界一のエンジンを作りたい」ホンダが世界一になるのに必要なこととは?

2017年10月09日(月)13:40 pm

「世界一のエンジンを作りたい」

F1日本GP決勝レース後、ホンダF1の長谷川祐介F1プロジェクト総責任者は、一人の技術者としての意欲を語ってくれた。

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フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)は予選10番手を獲得しながらもホンダのパワーユニット全交換による“35グリッド降格ペナルティ”により最後尾からスタートすることになり、決勝レースでは「チームの戦略」によって11番手まで追い上げた。

アロンソはホンダの地元・鈴鹿での10位入賞・1ポイント獲得を目指し、あと0.860秒というところまでフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)を追いつめたものの、「あと数周あれば」というところでレースはチェッカーフラッグ。マクラーレン・ホンダとして最後の鈴鹿は、3年連続でノーポイントに終わった。

■「世界一のエンジンを作りたい」

そのレース後、中堅チーム・トロロッソと組む来シーズン以降もホンダとして「世界一のエンジンを作りたい」と高い意欲を語ってくれた。

現在のパワーユニット・レギュレーションが終了するまであと3年。当然、ライバルであるメルセデス、フェラーリ、ルノーも開発を続け、さらに強く・速くなっていく中、ホンダが「世界一のエンジン」になるにはライバル・エンジンメーカーよりも何倍も開発スピードと精度を加速しなければならないことは容易に想像できる。

「その世界一のエンジンを作るのに必要なこととは?」という『TopNews.jp』の質問に長谷川氏は次のように答えた。

「全てと言えば全てなんですけど・・・もうちょっと“智恵”が必要ですね」

ではその“智恵”を外部から招き入れることは今後もしていくのだろうか?長谷川氏は力を込めてこう続けた。

「相当やっていますよ。その結果、今ここまでなんとか来れたと思っています」

優れた人材を入れていくリクルート活動もさらに加速していかなければライバル3メーカーを追い越すことは難しいが、今後も優れた人材を強化していく方針なのだろうか?

「えぇ、それは常にやっていますね」

■ライバル・ルノーも2020年までに強化を急ぐ

ライバルよりも優れた技術を開発するには、知恵を持った優秀な人材が必要なのはF1界の常だ。F1日本GP期間中、ルノーF1チームは全チームの内情を知る元FIA技術責任者マルチン・ブコウスキーがエグゼクティブ・ディレクターとして加入したことを発表した。シャシー開発と製造を監督するという。ルノーのマネージングディレクターであるシリル・アビテブールは「2020年までにトップチームの仲間入りをするべく、今後も強化を続ける」と述べている。

■今の日本人の負けず嫌い精神は、世界を争うレベルなのか?

今回、ルノーはシャシー部門の強化を発表したが、パワーユニットについても人材強化をしている。メルセデスもフェラーリも同様だ。

そんな中、ホンダが「世界一のエンジン」と言われるために必要なことは、外部からの“智恵”の獲得と同時に、第2期ホンダF1の黄金期のような“負けず嫌い”で“絶対世界一になる”という今の日本が忘れかけた競争精神の強化も必要だろう。他よりも優れた“智恵”は「絶対に勝ちたい」という競争心から生まれてくることが多いはずだ。

■F1は世界一の頭脳が戦う場

F1は世界中の優れた頭脳を持った人が集まった世界一を決める究極のレースだ。今年で3年目のホンダF1だが、途中から責任者に抜擢された長谷川氏は当初のホンダF1計画が「F1を甘くみていた」ことを認めている。世界の壁は想定以上に厚く、高かった、ということだ。

ホンダF1の活動を応援するファンの声は今はまだ多いが、すでに期待はしていないという声も聞こえてくるのが現実だ。しかしそれは、F1での激しいバトルを期待しているファンの本音だろう。

ホンダF1の活躍は、日本のF1ファン数やF1日本GPの観客数にも大きく影響するはずだ。これ以上はファンも、そしてF1界やホンダ役員も、サポートはできないという厳しい日がやってくるかもしれない。そんな日が来る前に、ホンダF1は全方位的に開発力・智恵の強化をさらに加速する必要がある。

この数年、フェラーリは常にトップグループで、F1に復帰したメルセデスは王者に君臨し、かつては新参者だったレッドブルも今やトップグループの常連だ。しかし第3期も含めホンダはなかなか活躍できない状況が続く。資金力はあるし、設備も最新鋭と言われている。智恵、技術力、文化の壁、言葉の壁、政治力、拠点・・・ホンダF1が再び世界一になるために必要なものはまだ山ほどありそうだ。

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