元F1ドライバーであり、現在はDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の責任者を務めるゲルハルト・ベルガーが、現在のフォーミュラEはまだデモンストレーションに近いものだと語った。
F1ドライバーとしての現役を終えた後は、トロロッソの共同オーナーを務めたり、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)でシングルシーター委員長などを務めたりしてきた経歴を持つ57歳のベルガーは、今年からDTMを運営する会社の代表に就任している。
ところが、その矢先にDTMの重要なエントラントであるメルセデスが2018年限りでDTMから手を引き、代わりに2019年からフル電動フォーミュラカーによる世界選手権であるフォーミュラEに参戦すると発表したのだ。
■F1テスト参加を果たしたベルガーの甥っ子
ベルガーの甥(おい)であるルーカス・アウアーもメルセデスの一員としてDTMに参戦しており、今季はタイトルを狙える位置につけている。
そのアウアーは今週ハンガロリンクで行われたF1シーズン内テストにフォース・インディアから参加している。
ベルガーは22歳となった甥のアウアーがハンガロリンクでのテストではうまくやれたと思うと母国オーストリアの『APA通信』に次のように語った。
「ルーカスは彼にできることを示すことができたと思うよ」
だが、アウアーが今後近いうちにF1のシートを得られる可能性はそれほど大きくはないだろう。逆にメルセデスがDTMから撤退してしまえば、その後どういう方向でキャリアを積んでいけばいいか非常に悩ましい状況を迎えることになってしまう。
ベルガーも、「もちろん、それ(メルセデスのDTM撤退)によって状況が複雑になるよ」と認めている。
アウアーにとってひとつの可能性として考えられるのは、メルセデスが結成する新フォーミュラEチームのドライバーとなることかもしれない。
■まだフォーミュラEは薦められないとベルガー
だが、ベルガーはアウアーにとってフォーミュラEが正しい方向性かどうかは疑問だと次のように語った。
「何周かしたら別のクルマに乗り換えなければならないなんて、レースと言うよりもデモンストレーションみたいなものだよ。恐らく今後はそれも変わってくるかもしれないけれどね」
ベルガーが言及したのは、現在使用しているバッテリーではレース距離を走り切ることができないため、レースの途中でピットに戻ってクルマごと乗り換えなくてはならないというフォーミュラE独特のルールのことだ。
ベルガーはさらに、現時点のフォーミュラEの観客数やテレビ視聴者数は少ないがDTMはそうではないと語り、次のように結んでいる。
「もちろん、私は2019年以降もDTMが存続すると考えているよ」