ハンガロリンクで行われたF1シーズン内テストの2日目に登場し、トータル142周を消化して4番手タイムを刻んで見せたロバート・クビサだが、必ずしも順調なスタートを切ることができていたわけではなかった。
■今季型F1マシンは思ったよりも横幅があった
テスト走行を開始しようとしたクビサは、ガレージの壁にクルマをこすってしまうというミスを犯してしまっていたのだ。
「あれはF1で犯すことができるもっともばかばかしいミスだったよ」
ほほ笑みを浮かべながらそう語ったクビサは、次のように付け加えた。
「あれで、今のクルマの幅がどれほど広くなったのかが理解できたよ」
■142周を走り切り4番手タイムをマーク
実際のところ、これまで2012年型F1カーで2回テストを行っていたクビサだが、そのクルマよりも横幅が広げられた2017年型F1マシンに乗るのは今回のテストが初めてのことだった。
だが、そのクルマで142周ものラップを重ねたクビサは、ジョリオン・パーマーが同じクルマで先週末のF1ハンガリーGP予選でマークしたタイムにはわずかにとどかなかったものの、1分18秒572というベストタイムを刻んで見せている。これは2日目のテストでは4番手となるものだった。
■今後のことはまだ白紙状態
テストが行われたハンガロリンクにはクビサの母国ポーランドからも大勢の報道陣がつめかけるなど、クビサのF1復帰を待ち望む声が日増しに大きくなってきているのは事実だ。
だが、この次のステップはどういったものになるのかと質問されたクビサは次のように答えた。
「分からないよ。僕に分かるのは、明日は飛行機に乗って家に帰るということだけだよ」
「僕は復帰を望んでいることを隠したりはしてこなかった。だけど、僕は現実的でもあるんだ。もしうまくいかなくても、それで失望したりはしないよ」
「3か月前には、僕がテストに出られるなんて考えたこともなかったんだからね」
■まだ復帰への道は長い
うわさでは、早ければ現在不振が続いているパーマーに代わって夏休み明けのF1第12戦ベルギーGPでクビサが復帰を果たすのではないかとも言われている。
だが、2008年のカナダGPで優勝経験を持つクビサは次のように語った。
「現実的であるべきだよ。復帰への道は長いんだ」
「確かに、僕はまた別の形でテストしたいと思っている。暑くて、すごく難しいサーキットであるここで走ることができたことで、ほかのどこでもうまくやれるだろうということは分かっている。ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)も僕に言ったよ。もしここで走ることができれば、恐らくどこだって走ることができるだろうってね」
「8時間も運転したから疲れはしたけれど、痛みはまったくなかった」
「多分、また何かチャンスが来るだろうし、僕もそれを期待している。だけど、正直な話、すでにとてもいい気分になれているんだ。僕には一歩ずつ進み続けることが必要だし、もしチャンスが訪れたなら全力を尽くすつもりだよ」
そう語ったクビサは「もしそうならなければ、何かほかのものを探すことになるだろうね」と付け加えた。
■若手も台頭し厳しい競争に
32歳のクビサがF1復帰のチャンスを狙う一方で、次の世代を担うであろう若手ドライバーたちもハンガロリンクテストでその力をアピールして見せている。
フェラーリのアカデミードライバーであり、今季はハースの開発ドライバーを務める19歳のシャルル・ルクレールは1日目のセッションで1分17秒746のトップタイムをマーク。ルクレールは来季もフェラーリからパワーユニット供給を受けることになったザウバーのシートを獲得するのではないかとのうわさもある。
そして2日目にマクラーレン・ホンダのテストを担当した17歳のランド・ノリスは、初めてステアリングを握ったF1カーでフェルナンド・アロンソがハンガリーGP予選でマークしたタイムを上回る1分17秒385を刻むという腕を披露している。
クビサもさることながら、こうした若手ドライバーの今後にもさらに注目が集まることになりそうだ。