TOYOTA GAZOO Racingにとっての2017年ル・マン24時間は、苦難のレースに終わった。3台体制で臨んだレースだったが、深夜に#7号車と#9号車の2台を失い、#8号車もトラブルのため一時54位まで後退。後半戦、懸命に追い上げた#8号車は9位でチェッカーを受けた。
■TS050 HYBRID #7号車:(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ステファン・サラザン)
10時間15分リタイア(154周) ファステストラップ:3分18秒694
■TS050 HYBRID #8号車:(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン)
13時間経過時点(中嶋一貴): 36位 176周
14時間経過時点(中嶋一貴): 30位 192周
15時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 27位 207周
16時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 16位 222周
17時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 15位 239周
18時間経過時点(アンソニー・デビッドソン): 14位 256周
19時間経過時点(アンソニー・デビッドソン): 13位 273周
20時間経過時点(中嶋一貴): 12位 290周
21時間経過時点(中嶋一貴): 10位 309周
22時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 9位 324周
23時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 9位 340周
24時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 9位 358周
ファステストラップ:3分18秒604
■TS050 HYBRID #9号車:(ニコラス・ラピエール、国本雄資、ホセ・マリア・ロペス)
10時間35分リタイア(160周) ファステストラップ:3分19秒321
■7号車、クラッチトラブル
小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ステファン・サラザンのTS050 HYBRID #7号車は、史上最速のコースレコードでポールポジションを獲得し、最大目標であった初勝利へと大きな期待と共にスタートから10時間にわたってレースをリードした。しかし、深夜の1時15分、クラッチトラブルでその夢は消えた。
■8号車、2時間の修復作業・・・54位から9位フィニッシュ
中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンの#8号車も同じく勝利を目指し、#7号車に次ぐ2位を走行していたが、8時間を迎える直前、フロントモーターにトラブルが発生、モーターとバッテリの交換を余儀なくされたが、チームは決して諦めることなく、2時間にわたる修復作業で再び#8号車をコースへと復帰させた。29周遅れ、54位でレースに復帰した#8号車は全体最速ラップタイムを叩き出すなど、懸命の追い上げを見せ、9位でチェッカーを受けた。
■9号車、他車に追突されリタイア
ニコラス・ラピエール、国本雄資、ホセ・マリア・ロペスの#9号車もアクシデントによりレースを終えることとなった。#7号車がリタイアした直後、#9号車は後方からLMP2車両に追突され、左リアタイヤのパンクと、油圧系統にダメージを負った。これにより、#9号車はシフトチェンジが出来ず、ピットまで残り僅かのところまでたどり着いたが、午前1時35分にリタイアとなった。
■ポルシェもトラブルに苦戦した今年のル・マン
レースは、2大ワークスチームのLMP1-Hによる宿命の対決となったが、共に全車がトラブルに見舞われ、各チーム1台ずつが後方から激しく追い上げる展開に。残り1時間あまりで首位に立った#2号車が優勝を果たした。
TOYOTA GAZOO Racingは、FIA世界選手権(WEC)の今季第1戦、第2戦を制し、ドライバーとマニュファクチャラーの両選手権をリードして第3戦となるル・マン24時間に臨んだ。
しかし、通常のWECシリーズの2倍のポイントが獲得出来る第3戦ル・マン24時間で上位入賞が果たせなかったことで、マニュファクチャラーズランキングではライバルに36.5ポイント、ドライバーズランキングでは#8号車のドライバーが#2号車のドライバーに対し、21ポイントのリードを許すこととなった。
トヨタにとって1985年の初参戦以来通算19回目のル・マンへの挑戦は無念の終幕となった。
ル・マンの規則では、リタイアした車両はレース終了までチームには返還されない。チームは車両が返還され次第直ちに#7号車と#9号車のトラブルとアクシデントの詳細な原因究明作業を行う。
TOYOTA GAZOO Racingは、次の目標である年間タイトル獲得に向け、7月16日(日)に行われるWEC第4戦ニュルブルクリンク6時間レースへ向け準備を開始する。
■佐藤俊男 TOYOTA GAZOO Racingチーム代表:
「昨年の敗戦以来、関係者で全力を尽くして準備を行い、再度トップを争える車両をル・マンに持ち込みましたが、結果はとても厳しいものとなってしまいました。
練習走行から順調に運び、決勝でもライバルとの厳しい接戦を優位に進めることが出来ました。ドライバーをはじめ、エンジニア、メカニックの皆がこの一週間素晴らしい働きを見せてくれたことに感謝をしたいと思います。勿論、優勝したポルシェに対しても心からお祝いを述べたいと思います。また、ファンの皆様には多くの暖かい応援を頂きましたが、我々は優勝トロフィーを持ち帰ることが出来ませんでした。
今回深夜に起こしてしまったダブルリタイアは当然受け入れられないものだと思います。同じことを繰り返さないの取り組みをして参ります。そして、必ずもっと強くなり、更に強い決心のもと、再びル・マンに挑戦したいと思います」。