先週末シルバーストンで行われたF1イギリスGP決勝は、直前に降った雨によりセーフティカー先導でレースが開始されていた。だが、この対応に批判的なF1関係者も少なくない。
■高速道路にはセーフティカーなどない
その中のひとりが元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーだ。かつてフェラーリやマクラーレンで活躍したベルガーは、ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。
「もし高速道路を走っているときに突然雨が降ってきたとしても普通のドライバーなら運転を止めたりはしないよ」
「ただ、その状況に対応するだけだ」
■今のF1ドライバーは過保護の赤ん坊
だが、シルバーストンでのセーフティカー先導は少し長すぎたというコメントを行ったドライバーもいるものの、ドライバーたちの中にはウエットコンディションでレース開始を迎えたときにはセーフティカー先導を行うというF1の新たな取り組みを支持する者も少なくない。
これに対して苦言を呈したのが、1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブだ。
「彼らのほとんどはまだ赤ん坊だ。もし将来のF1ファンをワクワクさせたいのなら、我々にはヒーローが必要だよ。ファンがあこがれを抱き、まねをしたいと思うようなアイドルがね」
そう主張したビルヌーブは、次のように付け加えた。
「だが、ファンの目には現在のドライバーたちは大金を稼いでおきながらセーフティカーの後ろに隠れる憶病者にしか映らないだろう。グランプリドライバーを非常に特別な存在としていたものが、もはや失われてしまっているんだ」
■ロズベルグのペナルティーも茶番劇
ビルヌーブはさらに、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の競技委員たちがイギリスGP決勝後にニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)に無線通信違反があったとして10秒加算ペナルティーを科したのも無用なことだったとジョークを交えて次のように語った。
「F1統括団体は、1本のコーナーフラッグがほかのものより5ミリメートル短かったからと言ってサッカーの試合結果も取り消してしまうんだろうね」