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ジャック・ビルヌーブ「F1は極限の存在であるべき」

2016年06月09日(木)20:51 pm

1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブが、現在の“抑制された”F1よりも、“極限”で戦っていたかつてのF1のほうが好きだったと語り、持論を展開した。

■今のF1は抑制され過ぎている

1997年にミハエル・シューマッハ(当時フェラーリ)との壮絶なバトルを制してF1タイトルを獲得したビルヌーブだが、『La Presse(プレス)』紙に当時と現在を比較して次のように語った。

「(今も)退屈ではないよ。だけど、同じではないね」

「こういう疑問が生じるだろう。我々はF1に何を望むのか、という疑問がね」

「僕に言わせれば、こういう抑制されたF1は極限からはほど遠いよ。僕からすれば、それは剣闘士の戦いの場ではないんだ。僕はそういうF1が好きだったんだけどね」

どうして現在のF1はそういうおとなしいものへと変わってしまったのだと思うかと質問された45歳のビルヌーブは次のように続けた。

「それは自分を傷つけることが許されなくなったからだと思うよ」

「それがFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)の姿勢なんだ。交通安全に重点を置き、そのイメージを高めるためにF1を利用しているのさ」

■F1には巨額の資金が必要

ビルヌーブは、現在F1における意思決定が民主的な投票システムをとっていることもこのスポーツをだめにしている要因のひとつだと主張している。

だが、ビルヌーブはフォース・インディアやザウバーが求めている予算制限についてもそれは正しいことではないと次のように続けた。

「予算はこれまでにも常にばく大だったよ。F1は社会主義をとっているわけじゃないからね。もしそれだけの予算がないと言うのなら、家に帰ればいいんだ。それだけの話だよ」

「マノーやザウバーのような小規模チームに関して言えば、彼らはF1チームであり続けようとさえしていない。彼らは単に生き残ろうとしているだけだ。F1はビジネスなんだ。これまでだって、誰もが1秒以内の差に入ることを目指したことなど決してなかった」

■F1を「ショー」にしてしまったのが間違い

ビルヌーブはさらに、安全性の問題だけにこだわっただけでなく、「ショー」にこだわったことが今のF1が抱える問題を生んだのだと次のように続けた。

「僕たちはF1をテレビショーにしようとした。それが大きな間違いなんだ。今では追い抜きもかなり増えている。だけどドライバーが追い抜くことができるかどうかイスから身を乗り出しながら見ようとする人などいない。今はワクワクするようなものが何もないからさ」

「僕たちは、F1が単なるショーだなどと言うのはやめるべきだよ。F1は極限を目指すべきものなんだ。だから金もかかるし、手が届かないところにあるべきものなんだ」

「F1カーを操れるような身体条件を整えるためには6か月が必要であるべきだよ」

以前からDRS(追い抜きを増加させるために導入された空気抵抗低減システム/可変リアウイング)などによって人為的に見せ場を増すような手段を取り入れたF1に苦言を呈していたビルヌーブは、次のように付け加えた。

「だが、今やF1はショーだ。F1は最高峰モータースポーツでありながら、それ自体がショーなんだ。かつては、誰もが(アラン)プロストや(アイルトン)セナを見てこう言ったものさ。“一生かけても僕にはあんなことは絶対にできないだろう”とね。人々に夢を見させるには、それで十分だったのさ」

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