トロロッソのチーム代表を務めるフランツ・トストが、F1では今後チーム同士がお互いに協力し合うことが必要だと主張した。
世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブル社が所有するトロロッソは、レッドブル・レーシングのジュニアチームという位置付けになっている。だが、昨年レッドブルとルノーの関係が悪化したことにより、2016年にはどのエンジンを搭載することになるのかが不透明な時期が長く続いていた。
結局、レッドブルは今季もルノーからエンジンの供給を受けることで決着。一方、トロロッソはフェラーリエンジンへ移行することとなり、ギリギリのタイミングで2016年型車をフェラーリエンジンに合わせて修正を施さなくてはならなくなっていた。
■新車製造のために100名を増員
トロロッソではそのために現時点ではスタッフを100名増員して2016年型車の製造作業にあたっているという。
トストは、イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』誌に次のように語った。
「トロロッソでは現在は480人が働いている」
「これは、我々がクルマを製造するために3交代制を敷いているからだ。作業開始が遅れてしまったからね。3月までにはイギリスで風洞作業を担当している者たちを含め、380人にまで削減することになる」
■シーズン開幕に間に合う自信あり
そういう状態で2016年シーズンに間に合わせることはできるのかと質問されたトストは、次のように続けている。
「ああ、もっと時間が欲しいところだが、我々の技術部門には経験豊かなスタッフが大勢いるし、彼らが限られた時間をうまく使ってくれているよ」
「それに、今年は2015年のときよりテストが始まるのが遅い。だから、楽観的に考えているよ」
トロロッソでは、2016年のF1公式シーズン前テスト初日となる2月22日(月)に、カルロス・サインツが2016年型車であるSTR11をバルセロナでデビューさせることになっている。
■レッドブルとの協力による恩恵は減少
だが、2016年シーズンはトロロッソにとってさらに複雑なシーズンとなるのは確かだ。これまでは同じルノーエンジンを搭載していたシニアチームであるレッドブルとの連携もとれていたが、搭載エンジンが異なる今季はそうした協力関係をこれまでほど生かすことはできなくなる。
「残念ながら、その通りだよ」とトストは認め、次のように続けた。
「例えば、以前は油圧系などに関しては共同作業ができていたが、今後は我々がすべて独力で行うしかなくなる」
さらに、今季のトロロッソはギアボックスも自前で対応することになる。
「フェラーリ製のものを使えるとすれば、それは2017年からだ。我々が新たなエンジンサプライヤーを探していたときには、すでにギアボックスの製造も進められていたんだ」
「状況がどういう形で進展するか様子をみることにしよう。もしフェラーリのギアボックスのほうが信頼性が高く、実用的かつ安価であれば、我々はそれを使うことになるだろう」
■将来的にはチーム間での協業が必要
だが、トストは、将来的にはレッドブルとトロロッソが再び密接に協力し合うことができるようになることを望んでいると次のように続けた。
「恐らく、我々はまた同じエンジンを使う状態に戻るだろう。財政的な理由も含めてね」
「一般的に、F1チームの財政構造は現在の(世界的)潮流に合致していない。多くの大手自動車メーカーは協業関係を結んでいるが、F1ではそれぞれが同じように金を費やしている。それぞれのチームには個別の明細があるし、独自に風洞施設も有している」
■協業が進めばレースも面白くなる
「我々は大金を費やしているが、それは素晴らしい協力関係を通じて節約することが可能だ。それだけではないよ。クルマの性能だって似たようなものになるから、レースはもっと面白くなるはずだ」
「これはディートリッヒ・マテシッツ(レッドブル総帥)が描いている展望なんだ。そして、ありがたいことに彼は長期的視点を持っていることを証明してみせてくれた。だが、技術的アドバンテージを持つチームたちはこうした協力関係には反対なのさ」
「我々にとっては、レッドブルとの技術協力は将来に向けて非常に重要だ」
■フェラーリの2015年スペックエンジンに期待
そう語ったトストだが、2016年シーズンに搭載するフェラーリ製パワーユニットが1年落ちの旧型であることについては心配はしていないと次のように主張した。
「私は、このエンジンがそれほど古いとは思っていないんだ。昨シーズンの最終戦では最強エンジン(メルセデス)とほぼ互角だったからね」