現在のF1カーは一昔前に比べて運転が簡単になったと言われていることに対し、F1ドライバーのフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)が反論を行った。
人気低迷が叫ばれているF1では、2017年もしくは2018年からさらにパワフルなエンジンと高速走行が可能なシャシーを導入する新ルールの検討を行っている。そのひとつの理由は、近年のF1カーはあまりにもクルマが高度に進化し過ぎたことにより、ドライバーの力量や判断がレース展開に及ぼす影響が小さくなってしまっていると考えられているためだ。
その反面、ドライバーにとっては、大馬力エンジンと高いダウンフォースが与えられていたかつてのF1カーよりも運転が簡単になったと言われている。
だが、2002年にF1デビューを果たし、V10エンジン時代、V8エンジン時代、そして現在のV6パワーユニット時代を経験してきているベテランドライバーのマッサは次のように語った。
「レース中に給油が行われていたころはもっと速かったよ。クルマが軽かったからね。だけど、だからと言って今のクルマの運転が簡単になったとは思わないよ」
「単にクルマが違うだけだと思う」
マッサは、評論家やファンが過去のクルマと現在のクルマのラップタイムだけを比較して、今のクルマの運転は難しくないと結論づけるのはあまりにも単純過ぎると次のように続けた。
「今のF1カーはばかばかしいくらい運転が簡単だと言われている。だけど経験値の高いドライバーほど今のクルマには悩まされているはずだよ」
「もし、もっとダウンフォースがあって速いクルマのほうが好きかと聞かれれば、もちろんだと答えるよ」
そう語ったマッサは、次のように付け加えた。
「だけど、それによってクルマの運転がもっと難しくなるとは思わないね。身体的には多分その通りだと思う。だけど、クルマ自体の運転が難しくなるというわけではないと思うよ」