トロロッソのマックス・フェルスタッペンは、F1第13戦シンガポールGPでチームオーダーを拒んだ。
レース終盤、フォース・インディアの後ろに迫っていたフェルスタッペンに、新品タイヤを装着したチームメートのカルロス・サインツが追いついた。チームはサインツにフォース・インディアを攻略させるため、順位を譲るよう無線で指示したが、フェルスタッペンは即座に「ノー!」と答えた。
レース後、サインツはスペインの記者にこう話した。
「僕を前に出すよう4回求められたのに、彼は応じなかった」
「ちょっと恥ずかしいことだよ」
「僕はフォース・インディアを捕まえられる手応えがあった。でも、マックスは自分で決めた。指示を聞かないってね」
フェルスタッペンは、スタートでエンジンがストールして最後尾に落ちたが、8番手まで順位を上げてきていた。レース後にオランダの『De Telegraaf(テレグラーフ)』紙に次のように語っている。
「彼を前に出す理由はないと思った」
「それに逆の立場だったら、彼だって僕を前に出したりしなかったよ」
サインツは違う考えだ。フェルスタッペンとはいい関係だが、ライバルであると同時に、チームの利益を優先すべき時もあると話している。
フェルスタッペンは、もしサインツに順位を譲っていたら、元F1ドライバーである父親のヨスに大目玉を食らっていたと話す。
「父は、もし僕が彼に譲っていたら玉をけり上げていた、と言っていたよ」とフェルスタッペンは笑っている。
■チームもフェルスタッペンの主張を認める
トロロッソのチーム代表フランツ・トストは、「マックスは正しかった」とレース後に話した。
「カルロスのほうがはるかに速かったのなら、もっと近づいていたはずだ。だが、カルロスはコンマ数秒後ろにとどまっていた。従って、最終的には正しい決断だったんだ。2人にもそう話したよ」
この一件が、サインツとフェルスタッペンの関係悪化にはつながらないとトストは強調している。
「不和に発展するとはまったく思っていない」
「2人ともプロフェッショナルだ」
フェルスタッペンもこう話す。
「カルロスと話をしたよ。何の問題もない。大きな影響はないよ」