F1第9戦イギリスGPは14万人という大観衆を集め、レースも大波乱の展開となった。
予選はいつも通りメルセデスAMGが1列目を独占。しかし、スタートで2列目からウィリアムズの2人が飛び出して、メルセデスAMGが追うというこれまで見られなかった展開に。
その後、タイヤ交換のタイミングでメルセデスAMGのルイス・ハミルトンがトップを奪う。だが、終盤に波乱が待っていた。レース序盤からチームがドライバーに警告していた雨がついに降り始めたのだ。
雨は強くならなかったが、ぬれた路面でペースの落ちたウィリアムズ2台をメルセデスAMGのニコ・ロズベルグがようやく抜き去り、2位に浮上。雨はそのままやむかに見えたが、急に雨脚が強まり始める。
そのタイミングで最初にピットインしたのがハミルトンだった。後ろのロズベルグとウィリアムズはそのまま走り続けたが、さらに後方の5位だったフェラーリのセバスチャン・ベッテルも即座にピットイン。これが功を奏して、次の周にウィリアムズがタイヤ交換してコースに戻ったときには、ベッテルが3番手を奪っていた。
■「F1危機説」に対する反証
波乱のレースで1-2フィニッシュを飾ったメルセデスAMGのトト・ヴォルフは、「危機はお流れになったのかな?」とレース後に冗談交じりに語った。
「絶好のタイミングでこうしたことが起きることもある。盛り上げるのに必要なあらゆる要素がそろったレースだった」
イギリスの『Times(タイムズ)』紙は、ハミルトンが「F1のしかめ面をぬぐい去った」と評価した。
また、ドイツの『Suddeutsch Zeitung(ズードイチェ・ツァイトゥング)』紙もこう書いている。
「14万人の観客、攻略の難しいコース、不安定な天候、これぞというレース展開」
「F1の危機に対する最善策は、レースを“モータースポーツの母国”に持っていくことだった」
母国で優勝を飾ったハミルトンは、レース後にこう語った。
「今も消えたわけじゃない…そういう考え(F1への批判)は今も多くの点で正しいんだろう。でも、おもちゃを放り投げて泣く赤ん坊みたいに、すべてが間違っていると言うべきじゃないっていうことを教えているんじゃないかな」
ヴォルフはさらにこう話している。
「それでも、さらなる改善に向けて何ができるか問いかける必要がある。批判する者に対して、このスポーツの素晴らしさを納得させるためにね」
■メルセデスAMGの強さは変わらず
予想の付かないレース展開だったものの、結果的にはいつもと同じメルセデスAMGの1-2に終わったことに対し、「退屈」と『Bild(ビルト)』紙は書いている。
だが、フェラーリのチーム代表マウリツィオ・アリバベーネはこう話した。
「私は、メルセデスAMGと同じくらい退屈な存在になって、常に1位と2位を取りたいね」
「彼らはそれだけのことをしている。だが、われわれも懸命に働いているよ。今後は表彰台が少しでも退屈な顔ぶれにならないようにとね」