メルセデスAMGが、チームの判断ミスでルイス・ハミルトンからF1モナコGP優勝のチャンスを奪ってしまっていたことを認めた。
モナコGP開幕直前の20日(水)に、メルセデスAMGとハミルトンが2016年から3年間の契約を新たに締結したことが正式に発表されたばかりだった。
ハミルトンはその後、モナコで初めてポールポジションを獲得。24日(日)に行われた決勝でも大きなリードを築きながら独走態勢を築き、あとはこのままチェッカーフラッグを受けるだけだと誰もが考えていた。
ところが、レース終盤にマックス・フェルスタッペン(トロロッソ)の大きなクラッシュが発生し、セーフティカーが導入されたことでハミルトンの勝利の方程式に狂いが生じてしまった。
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、オーストリアのテレビ局『ORF』に次のように語った。
「ルイスは、タイヤの温度が急激に下がってしまい、グリップがなくなったと伝えてきていたんだ」
「そこで我々が大失敗をしでかしてしまったことを彼には申し訳なく思っている。あの(ピットイン指示)判断は間違っていたよ」
ハミルトンがピット作業を終えてコースに復帰したときには、それまでに築いていた大きな差が消えてなくなるどころか、チームメートのニコ・ロズベルグ、さらにフェラーリのセバスチャン・ベッテルにまで先行を許すことになってしまっていた。
誰の目にもそのまま勝利を飾ることが明らかだったハミルトンだが、そのミスによって3位でチェッカーを受けることになってしまったのだ。
ハミルトンは、レース後に「今の気持ちを言い表すことなどできないし、そうしたいとも思わない」と語り、大きな怒りと失望をあらわにしていた。
メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダは、ハミルトンのレース戦略担当者が行ったピットインの判断は「受け入れられるものではない」と語り、次のように続けた。
「すでに、私はルイス担当エンジニアたちにわびを入れたよ。トトには今回の状況について徹底的な分析を行うべきだと伝えておいた」
メルセデスAMGのエンジニアや首脳陣たちはすでにその分析をかなり公然とした形で始めていた。彼らが活発な議論をかわしている様子は、モナコの独特なピットレーンに設けられた窓を通じて、世界中のメディアが注視していた。
「我々には、ただ謝って、謝って、そしてまた謝ることしかできない」
記者たちにそう語ったヴォルフは、次のように続けた。
「我々はそのときのタイム差の計算を間違えていたんだ。今回の勝利はルイスが手にすべきだった。彼が怒るのも全く当然の話だ」