レッドブルとルノーの決別が加速か
レッドブルと、ワークスエンジン供給メーカーであるルノーとの決別が近づいていることを示す兆候がますますくっきりと表れ始めているようだ。
■ルノーが元テクニカルディレクターと契約
現在、自らのワークスチームを擁してのF1復帰を検討しているルノーがトロロッソの買収を検討していると報じられている。そんな中、スペインの『El Mundo Deportivo（ムンド・デポルティーボ）』は、ルノーがメルセデスAMGの前テクニカルディレクターであるボブ・ベルと契約を結んだと報じている。
ベルは、10年前にルノーがF1タイトルを獲得したときに同チームでテクニカルディレクターを務めていた人物だ。もちろん、ベルはエンジンの専門家というわけではない。ルノーが今回ベルと契約したことは、まぎれもなく、再び自らのF1チームを立ち上げようと計画していることの証拠だろう。
『El Mundo Deportivo（ムンド・デポルティーボ）』によれば、ルノーの代表者が最近イタリアのファエンツァにあるトロロッソのファクトリーを訪問したという。そして、その中にはルノーのF1プロジェクト責任者であり、かつてケータハムのチーム代表を務めていたこともあるシリル・アビテブールとベルの顔があったとされている。
■レッドブルがアウディと接触との報道も
一方、イギリスの『Times（タイムズ）』は、レッドブルがフォルクスワーゲン・グループに所属するアウディへの接触を試みたと報じている。少し前にはF1参戦を検討しているとうわさされているアウディに対し、レッドブルがチーム売却をもちかけているようだとのうわさも流れていた。今回の報道はこのうわさに符合するものかもしれない。
今季の開幕戦F1オーストラリアGPで不本意な結果に終わったレッドブルは、エンジンサプライヤーであるルノーを厳しく非難していたが、その直後にこうした形で一気に事態が進展しそうな気配が出てきている。
■パートナーのルノーを批判一方のレッドブル
レッドブルのクリスチャン・ホーナー（チーム代表）は、ルノーのパワーユニットはメルセデスに比較すると100馬力も劣っていると主張したばかりか、そのパワーユニットのせいで自分たちが製造したF1カーさえ損傷を受けたとほのめかしている。
「ダニール（クビアト）のクルマは5速ギアが損傷を受けていた」
『Speedweek（スピードウィーク）』にそう語ったホーナーは、「恐らく、これはエンジンが発生する振動と関係があるようだ」と付け加えた。
オランダの『De Telegraaf（テレグラーフ）』は、ホーナーが「ルノーは速やかに対策を講じるべきだ」と語ったと報道。
悲惨な結果に終わったオーストラリアGP後には、レッドブルとルノーの首脳陣がすぐに「危機対応会議」を開いたと伝えられている。
■ルノー側もレッドブルとの関係悪化を示唆
一方、ルノーのアビテブールは、問題の存在は認めながらも、レッドブルとの関係がさらに悪化していることもほのめかしている。
ドイツの『Welt（ヴェルト）』は、アビテブールが、ホーナーやモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコなどのレッドブル首脳陣は、もう少しルノーに対して「敬意を払って欲しい」と語り、次のように続けたと報じている。
「我々とレッドブルのパートナーシップを、今よりももっと進展させる必要があるということだけだ」
