イタリアの偉大なF1チームであるフェラーリでさえ、今では「ペイドライバー」を雇い始めたようだとする声に対し、フェラーリが否定を行った。
率直な物言いをすることで知られる元F1ドライバーのマーク・ウェバーは今週、ここ数年の間に「金を払うこと」でF1のシートを手に入れるドライバーが増えていることは「ばかげたこと」だと『Herald Sun(ヘラルド・サン)』に語り、次のように続けた。
「それはF1ではあって欲しくないことだね」
だが、小規模チームにとっては、かなりの金額やスポンサーを持ち込めるドライバーと契約をすることが、チームを存続させるための重要な手段となっている現状がある。
例えば、2013年にザウバーからF1デビューを飾ったエステバン・グティエレスは、出身地メキシコの大富豪であるカルロス・スリムの支援を受けており、ザウバーのF1カーにはスリムが所有するテルメックス、テルセル、クラロといった通信事業会社のロゴが施されていた。もちろん、グティエレスに関しては資金を持ち込むことでシートを得た「ペイドライバー」であると考えられていた。
2015年にはそれらのメキシコ系企業のロゴは、ザウバーではなくフェラーリのF1カーに掲示されることになった。これはもちろん、グティエレスがフェラーリの正式なリザーブドライバーとなったことによるものだ。
フェラーリの新たなチーム代表に就任したマウリツィオ・アリバベーネは、『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語った。
「エステバンと契約したことでいろんな批判があるのを耳にしたし、そういう記事をいくつも目にしたよ」
「例えば、彼がフェラーリでの仕事が得られたのは、アメリカ・モビル(テルメックスなどの親会社)の多額の予算のおかげだ、というような記事をね」
フェラーリに加わるまでは長年にわたってマールボロの広告宣伝責任者を務め、支援先であったフェラーリとも長い付き合いのあるアリバベーネは次のように続けた。
「だが、それは事実ではないんだ。アメリカ・モビルやカルロスとの交渉とエステバンは関係ない。なぜなら私自身がカルロスの友人だからね」
「私が彼に電話をし、合意に至っただけさ」
アリバベーネは、グティエレスを単純に「ペイドライバー」だと考えるのは間違っていると次のように主張している。
「エステバンはあまりにも早くF1に来てしまった」
「あまり失礼なことを言いたくはないんだが、彼はそれに加えて、多くの問題を抱えたチームに入ってしまった。あのチーム(ザウバー)は彼が行くべきチームではなかったんだ」
「もし、彼のパフォーマンスを評価したいのなら、その2つの観点から見なくてはならないよ」
その語ったアリバベーネだが、フェラーリではグティエレスがいつの日かF1レースに復帰するためのいい手助けをすることができると考えている。
「我々がエステバンと契約した理由には、彼が昨年のエンジンを知っているということもあるんだ。彼はマラネロ(フェラーリ本部)で毎日働いているし、今ではフィルミング・デー(撮影目的とした走行)やバルセロナ(テスト)にも同行している」
「これが、若いドライバーをF1になじませるための正しいやり方なんだよ」とアリバベーネは付け加えた。