22日(日)にスペインのバルセロナで行われたテスト走行中にクラッシュして病院へ搬送されたフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)だが、どうやらもう一晩病院にとどまることになりそうだ。
今回の事故原因について、マクラーレン・ホンダではまだ何も具体的なことを発表していない。これにより、関係者の間には、トラブルが多発しているホンダのERS(エネルギー回生システム)の漏電によりアロンソが感電したのではないか、あるいは動作不良を起こしたバッテリーからの有毒ガスを吸ったのではないかというようなさまざまなうわさがささやかれている。
アロンソの容体に関しては、事故直後アロンソには意識がなかったと伝えられている。アロンソはまずサーキット内の医療施設へと運ばれ、その後、マクラーレンに言わせれば「大事をとって」検査を行うために近くの病院へとヘリコプターで搬送されていた。
コース脇で事故直後の様子を見ていたというカメラマンのジョルディ・ビダルは、スペインの『AS』紙に次のように語っている。
「医師が彼(アロンソ)のヘルメットを軽くたたいたんだけど、彼はそれに反応していなかった。その状態が10分ほど続いていたよ」
ビダルは、アロンソがコース脇の壁にかなり低い速度で横滑りしながらぶつかった様子を撮影していたという。
スペインのラジオ局『Cadena SER(カデナSER)』は、カタルーニャ総合病院の関係者がメディアに対し、アロンソが病院へ到着したときには意識もあり、医師と会話を交わしていたと語ったと伝えた。さらに、マクラーレンの広報担当者もチームリリースの中で「CTスキャンの結果を見たが、アロンソは負傷しておらず、大丈夫だ」としている。
同じ声明の中で、マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエは、「幸いなことに、彼は大丈夫だ。だが、事故の際に脳震とうを起こしていたため、念のために今夜は病院に入院することが必要となった」とするとともに、今回の事故はメディアが伝えているような大げさなものではなく、テストではよくあることだと、事故の重大性を否定するコメントを行っている。
ブーリエは、複数のメディアがそれほど強い衝撃を受けるようなクラッシュではなかったようだと伝えていることに対し、実際にアロンソのクルマに備えられていたFIA(国際自動車連盟)のセンサーが15Gの衝撃を受けたことを示していたと主張。
これに関しては、スペインの放送局『Antena 3(アンテナ3)』を含むいくつかのメディアも、搭載されていたセンサーのデータは最大30Gもの衝撃があったことを示していたと報じている。
また、イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』によれば、アロンソのトレーナーを務めるファブリツィオ・ボッラが、アロンソがクラッシュ後には「動揺した」状態だったため、医療スタッフは病院へ搬送する際に鎮静剤を投与する必要があったことを認めたという。
一方、アロンソのマネジャーであるルイス・ガルシア・アバドは、バルセロナにおいてスペイン人記者たちに対し、アロンソがクルマに乗り込むときに体調不良を訴えていたという話は事実ではないとし、次のように語った。
「壁にぶつかったのがすべてだ」
「彼は苦痛もなく落ち着いているし、あれはまったく特別な状況などではなかった」
「今後24時間から48時間ほど病院で経過観察をすることになる」と、アロンソがもう一晩病院で過ごすことになるのを認めたアバドは、次のように付け加えた。
「重要なことは、フェルナンドは意識を失ってなどいなかったということだ」
さらに、アロンソが今週木曜日(26日)から予定されているシーズン前最後の公式テストや、あるいはメルボルンで行われる2015年のF1開幕戦(オーストラリアGP/3月15日決勝)を欠場する可能性はあるのかと尋ねられたアバドは、次のように主張した。
「彼は大丈夫だ。私は何の問題もないと思っている」
「彼は元気だよ」とアバドは念を押すように付け加えた。