先週末に開催された今季のF1第5戦、スペインGPで自分の連勝記録を4に伸ばしたメルセデスAMGのルイス・ハミルトンだが、評論家たちに「前言を撤回させる」ことができて満足していると語った。
2012年シーズン終了とともに、それまで在籍していたイギリスの名門チームであるマクラーレンから、当時はまだかんばしい成績を残すことができていなかったメルセデスAMGにミハエル・シューマッハの後任として移籍したハミルトン。
だが、当時はハミルトンの移籍に関して「気でも違ったのか」とする評論家が多かった。中には、ハミルトンはより豊かな人生を送りたいがために、より高給を提示したメルセデスAMGへ移籍するのだと語った評論家さえいた。
「みんなは何も知らないくせに、すぐに自分たちの結論を導き出そうとするんだ」
スペインGP決勝前に、『Marca(マルカ)』にそう語ったハミルトンは、次のように続けた。
「僕があの(マクラーレンを去る)決断をしたとき、こういう結果が訪れるだろうと考えていたんだ」
ハミルトンは、それは自分が今季のF1タイトル争いをリードしているということではなく、メルセデスAMGが成功を収めることになるだろうと考えていたという意味だと補足している。
現在、ハミルトンの宿敵とも言われるフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)や、4年連続チャンピオンチームであるレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーでさえ、ハミルトンがこのまま今季の残り14レースを勝ち続けることも「ありえるだろう」と考えている。
もしそうなれば、F1の歴史においても前代未聞の出来事ということになる。
チームとしては1988年にマクラーレンが全16戦中15勝を飾ったことが知られているが、2014年も、マクラーレンが全盛を誇ったその1988年のようなことになりそうかと尋ねられたハミルトンは、「あれは間違いなく興味深い年だったね」と答えると、さらに次のように続けた。
「現時点では、そうは思わないよ。でも、不可能なことなどなにもないからね。どうなるか見てみよう」
「常に勝利すること、それが僕たちの目標だからね」
メルセデスAMGがそうした記録を打ち立てられるだけの強さを持っているとすれば、ハミルトンとチームメートであるニコ・ロズベルグとの関係もかつてのアイルトン・セナとアラン・プロストのようなとげとげしいものとなる可能性もありそうだ。
「まだそうはなっていないよ」と笑いながら語ったハミルトンだが、「でもこの先どうなるかは分からないけれどね」と付け加えている。
そうした不安要素がないわけではないが、それでもメルセデスAMGは現時点においてはそのライバルであるフェラーリやレッドブルよりも満足していることは間違いない。
メルセデスAMG勢の後ろ姿ばかりを眺めさせられているフェラーリやレッドブルでは、今シーズンからF1に導入された新たなレギュレーションに対する批判の声を上げ続けてきている。
これに関してハミルトンは次のように続けた。
「物事がうまくいかないときに不満を口にするのは簡単なことだよ。みんなそうだった。マクラーレンでは2009年にひどいクルマを造ってしまったけれど、そのとき僕たちはその年に導入された新しいルールを批判していたよ」
そう語ったハミルトンは、次のように締めくくっている。
「レッドブルはこれまで何年もいい思いをしてきた。そして今はそうではなくなっているということさ」