世界的エナジードリンクメーカーの総帥であり、F1チームのレッドブルのオーナーでもあるディートリッヒ・マテシッツが、自分たちが永遠にF1に参戦を続けるとは思わないほうがいいと警鐘を鳴らした。
億万長者として知られるディートリッヒは、メルボルンで行われた今シーズンのF1開幕戦オーストラリアGPにおいて、4年連続のF1チャンピオンチームであるレッドブルのダニエル・リカルドが、燃料流量違反があったとしてレース後にF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)によって失格処分となったことを受け、次のように語った。
「FIAが支給したセンサーは、(冬の)テストの最初のころから不正確な値を示していたというのが事実なんだ」
マテシッツは、ウィーンの日刊紙である『Kurier(クーリエ)』に対し、次のように付け加えた。
「我々が基準値内であったことは証明できるよ」
マテシッツは以前、もしレッドブルのオーナー企業が、求めるような経済的な価値をF1から受けることができなくなれば、F1から撤退する覚悟もしていると語っていた。
今回、マテシッツはそのことに関して次のように説明した。
「それが経済的に意味があるかどうかということはそれほど大きな問題ではない。もっと大事なのは、スポーツとしての価値や政治的影響力などのほうだ」
「われわれはそのすべてを手にしていた。だが我々の観点からすれば、こうしたことについて我々が受け入れることができることにも限界がある」
マテシッツはさらに、F1が今年から新たに導入した、より小さく、環境に優しく、静かで高効率な「パワーユニット」に対しても不満を表している。
69歳となるマテシッツは、次のように語った。
「F1は、これまでもずっとそうだったが、またしてもルールでがんじがらめにされてしまった」
「(F1は)燃費の記録を打ち立てるためのものではないし、レースの間ずっと小声で話すことができるようなことを求めるものではないだろう。タイヤのスキール音にこそ最大の感動があるものなんだ」
「同様に、私はF1が昨年よりも2秒も遅くなり、わずかな予算しかかけていない下位カテゴリーのGP2がほとんどF1と同じような速さになるというのもばかげた話だと思っているよ」
しかし、「新たなF1」が好ましいものだとは思っていないにしろ、マテシッツは2014年シーズンにおいて、現時点でリードしているメルセデスAMGに対してレッドブルが戦いを挑むことをあきらめるようなことはないと次のように続けた。
「我々はパートナーであるルノーとともに24時間態勢で働いている。今後2、3週間のうちにはまた大きな飛躍をとげることになるだろう」
「我々は復活するよ」、とマテシッツは結んだ。